ローマ人の物語〈1〉― ローマは一日にして成らず みんなこんな本を読んできた ローマ人の物語〈1〉― ローマは一日にして成らず
 
 
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ローマ人の物語〈1〉― ローマは一日にして成らず ( 塩野 七生 )

 塩野女史に始めて出会ったのは『ローマから日本が見える』(集英社インターナショナル)です。その明晰な文章と着実に積み上げられた論理構成に感銘を受けて以来,この『ローマ人の物語』シリーズは何時か手に取りたい本でした。そして,遂に読み始めたというわけです。 <br /> <br /> 本書ではローマの建国から,第一次ポエニ戦役直前までの500年間を題材としています。「序章」」で,「後にローマが大をなす要因のほとんどは,この五百年の間に芽生えはぐくまれたのである。青少年期になされた蓄積が,三十にして立ったときにはじめて真価を問われるのに似て(P. 14)」と述べられているように,まさにローマは黎明期です。まず,この一冊を読んでしまったならば,続けて読まない訳にはいかないでしょう。 <br /> かつて世界史の授業で習ったローマはまったく印象に残っていませんが,塩野女史の手によるこのローマの躍動振りには驚かされます。一体,高校の時の世界史とは何だったのでしょう。

 この本は価格は高めだがそれだけに読み応えがあるし、無駄なセリフも一切無いので歴史や教養の教科書としても利用できる。とにかく最終巻まで多くの人名・地名などのカタカナが出てくるので、ある程度読んだらまた戻って読むのもいいかもしれない。

 ご存知、連作の大一巻です。内容はローマ建国から、共和政確立までを扱っているだけですが、この一冊だけでも読んでみても、著者のローマ史に関する一貫した考え方が、強く感じることができます。いや、資料の限られているこの期間だからこそ、強くそれを感じるのかもしれません。王政期から共和政初期にかけての時期を神話だと、一刀両断する学者もいるようですが、著者はそんなことをあまり気にしていないようで、むしろ、神話であっても史実であっても、帝政期まで連綿と続いたローマ人気質の源流をこの時代の逸話から掘り起こそうとしているようです。自らを「シロウト」と呼ぶ著者は、まさに「シロウト」としての自由さを武器に、個々の出来事の真偽をひとまず置いて、この時代がローマ史の中でどのような位置にあるのかを一段高い位置に立って、読者に示してくれているのです。<p> このローマ人の物語を以って、ギボンのローマ帝国衰亡史に比するのは大げさでしょうか?しかし私としては、この一連の塩野氏の著作は歴史に残る偉業としても決して差し支えのない立派なものであると思っています。このシリーズはどこから読んでも、ちゃんとわかるようにできていますが、やはり本書から読み始めるのが良いように思います。かく言う私も途中から読み始めたクチなのであまり大きく言えないのですが、やはり第一巻から読み始めた方が全体をより深い理解の下で楽しめるように思うのです。

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ローマ人の物語〈1〉― ローマは一日にして成らず知名度のわりには、日本ではその実態があまり知られていないローマ帝国。1993年に新潮学芸賞を受賞した本書は、その帝国の歴史を人間の生きるさまから描いていこうという壮大な構想による「ローマ人の物語」シリーズ第一弾。ローマ建国からイタリア半島を統一するまでの帝国の誕生期にあたる多難な500年間に生きた王や貴族、庶民にまで焦点を当て、彼らの足跡と周辺の事情を丁寧に追っていく。 <br>元老院と市民集会を定めた建国者ロムルス。暦を定め、多神教を守護神という概念で定着させた2代目の王ヌマ。息子のスキャンダルのためにローマ市民により追放された最後の王タルクィニウス。上下水道やローマ街道を最初に作らせた貴族アッピウス。そして、貴族の横暴に対して全員で山に立てこもり抗議する市民。 <br>著者の筆にかかると、そうした人物たちが銀幕上の俳優のように生き生きと動き出す。「お互いに、古代のローマ人はどういう人たちであったのか、という想いを共有」していくうちに、帝国の歴史から元老院や護民官などの政治システム、そして何より古代ローマ人の考え方までをごく自然に理解できるようになる。本書は、退屈なものと決めつけられがちな歴史解説書にまったく新しい息吹を吹きこむことに成功した一冊である。ちなみにこのシリーズは、著者のライフワークとして1992年から2006年にかけて毎年1作ずつ書き下ろされていく。(鏑木隆一郎)
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ローマ人の物語〈1〉― ローマは一日にして成らず