本の帯に「衝撃のドキュメンタリー・ノベル!」「これを小説だと言っているのは著者だけだ!」とあり、読者の興味を大いにそそります。金成日が実名で登場するなど、事実なのか虚構なのか、ぎりぎりのスリルを楽しめる仕組みです。これをドキュメンタリーではなく小説にしたところに、著者の苦悩(事実として書ききれない部分、Guessとしておきたい部分、せざるを得ない部分)があるのでしょうが、結果として、やや中途半端な印象は拭えません。個々の事実は、職業柄、何らかの情報網に引っかかったものでしょうし、綿密な取材もあったことでしょう、その限りにおいてはリアルで楽しめます。衣装、食事、篠笛、浮世絵といった小道具への薀蓄も並みではありません。しかし、全体として見た場合、人物造形が安直であったり、設定の一部に無理があったり、濡れ場の描写も避けているあたりも、別に濡れ場を期待している訳ではありませんが、小説としての厚みや纏まりに欠け、折角のストリーが生かされていないように思われます。それでも、それぞれの描写は興味深く、一気呵成に読めたので、星三つとしました。
ノンフィクションもどきとしては面白いが人物造形がちょっと・・・
<br />というご意見が多いようですが、私はキャラの立ち具合がすばらしい
<br />と思いました。
<br />とくに霞ヶ関の女性キャリアとか最高で、これを読んで以来柿の種を
<br />絶やさないようにしたほどです。
<br />田中均さんがBBC特派員を「ニッポンの洋食」に招待する場面とかも
<br />しびれました。
<br />本当はリアルじゃないのかもしれませんが、高杉良とかの小説に出てくる
<br />マンガチックな会社員に比べれば、怖くなるようなリアリティーを
<br />感じました。この作品の登場人物が今回限りなのはもったいないです。
<br />テッシー、次作をお願い!
この作品は小説として読めば評価は高くないかもしれませんが、手嶋氏が得たインテリジェンスを小説風にして著したと考えると良く出来ていると思います。実話がちりばめられている作品として私は読みましたので、手嶋氏の得たインテリジェンスのセンスを評価したいと思います。
<br /> このコメントは、「国家の罠」の著者の佐藤優氏が手嶋氏のインテリジェンスを誉めていた影響が大きいのですが。