たった10人でいどむ、箱根の山は天下の険。
<br />走ることの孤独と自由と平等と。走るときの緊張と不安と高揚と。
<br />魂の底から追い求めるもの。追い続けずにはいられないもの。
<br />信じる強さ。信じられる、強さ。全幅の信頼が賦与する、この力。
<br />どんなに辛くても苦しくても面倒臭くても、抑えがたく愛しい。
<br />愛しているとさえいえる。たとえ神さまに選ばれなくとも、愛することはできる。
<br />ここに性愛をさしはさむと野暮になる。走ることが、これほどに気持ちいいのだ。
<br />あくまでもストイックに、走れ。速く強くうつくしく。
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<br />駅伝を活かした構成も素晴らしいが、人物も魅力的で、物語も力強い。
<br />文章がリズミカルで、テンポよく、読み手のテンションも引き上げられる。
<br />一気にゴールを目指して読み通したくなる、何度でも味わいたくなる。
<br />箱根駅伝と、その高みを目指すすべての人を応援したい気持ちになる。
素晴らしい作品に出会えてとても満足しています。
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<br /> 竹青荘に暮らす個性溢れる10人が一年と短い期間で箱根駅伝を目指す青春爽快な作品です。
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<br />マラソン経験者のハイジ、足の怪我はあるもののリーダー的存在で皆を箱根駅伝に引き込チョウホンニン(君たちに頂点をみせてやる)
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<br />こちらもマラソン経験者の走(カケル)マラソンの速さは竹青荘で一番と言うより、大学長距離界でもトップクラスの実力者だが、高校時代の暴力事件で少し気負いすぎな所あり(すぐに行きます、待ってて下さい)
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<br />双子のジョータとジョージはサッカー好きで中々の運動能力、兄のジョータ(駅伝に出ればモテルンダネ?)弟のジョージ(モテるんでしょ?)
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<br />山田舎の出身の神童、地元の村ではそう呼ばれていた、親思い(箱根に出れば親も喜ぶと思うんだ)
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<br />司法書士試験を一発合格のユキ、音楽好きでいつも音楽が流れている。隣部屋のニコチャン先輩と好敵手(やるからには狙う)
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<br />部屋中煙だらけで視界が利かないほどの愛煙家のニコチャン先輩おおらかで前向きの性格、パソコン博士(一人じゃ襷はつなげねぇよ)
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<br />クイズオタクのキング、クイズ番組をほとんど制覇しているが、それは自分の部屋の中だけの話(箱根に出れば就職安泰ってホントだな?)
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<br />気のいい外国人のムサ、流暢に日本語をはなす、黒人であるが祖国ではボンボンである、身体能力は高い。(黒人が速いというのは偏見です)
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<br />そして漫画オタクで部屋中マンガの山にしている王子、下の部屋に暮らす走は天井が落ちてくるのではとしんぱいしている。竹青荘の中で一番のお荷物で身体能力はゼロに等しい。(鬼だよあんた)
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<br />こんな個性溢れる十人が一年を通して箱根駅伝に挑戦します。色々な事にぶつかり、挫折し、喧嘩し、慰めあい、認め合っていく、読むほどに引き込まれて行き、自分が竹青荘の一員になっていく感覚になります。
<br /> とても素晴らしい作品に出会えたと心から思います。是非読んでみてはいかがでしょう。
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三浦氏の作品は今までエッセイしか読んだ事がなかった。
<br />エッセイしか読んだことのない作家の小説、となると期待(エッセイと同じく
<br />面白いはず!)と不安(エッセイはいいのに小説が?なこともあるし・・・)が
<br />入り混じっていた。
<br />読みたい作家の本を読むとき、内容の判りそうなもの(帯、書店でのプレートなど)
<br />を見ないようにして、何もわからない状態で読む私としては
<br />全く興味の無い「箱根駅伝」を扱っているものだ、と読み進めるうちに判ってくる。
<br />けれど読むスピードは失速するどころか、どんどん物語りに引き込まれて
<br />一晩で読み上げてしまった。
<br />お正月の箱根駅伝は絶対見たくなってしまった。
<br />何なら箱根で来年の正月は過ごそうかな、とすら思ってしまった。
<br />作者の、登場人物ひとりひとりに対する愛情までも伝わってくるような、
<br />大変丁寧に書かれた作品で、とても心が暖かくなった。
<br />彼女自身のまっすぐさが伝わってくる。
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