今回の「このミス」で2位になった作品。
<br />長編小説かと思って読み始めたので、短編だとわかってちょっとガッカリ。
<br />でも内容はよかったです。
<br />北海道の小さな町の腐敗がうまく描かれています。
<br />駐在さんなのに、元刑事だけあってかなりハードボイルドです。かっこいいです。
<br />最後の「仮装祭」は特にゾクゾクしながら読めました。
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川久保には、もと強行犯係の捜査員ならではの鋭い感がある。だが、駐在警官では捜査に
<br />加われない。彼は独自に動き、真相を探っていく。そこには、地元にいるものにしか分から
<br />ない思わぬ事実が隠されていたりする。口の堅い地元の人間からいかに真相を引き出せるか?
<br />川久保の苦悩が読み手にも伝わってくる。地元有力者や、警察内部の力関係も垣間見え、
<br />興味深かった。
<br />北海道を舞台にした作品だが、「逸脱」に書かれている内容は実際に何年か前に北海道で
<br />起こっている。作者はそれを踏まえて書いたのだろうか?特に印象に残った。
かつては冒険小説の良質な書き手として知られた作者だが、ここ数年作品の出来映えは決して芳しい物ではなかった。それが昨年の「うたう警官」から警官物を書く作家として復活してきた。この作品も北海道の地方の腐敗や北海道警察の実態からくる不備と闘う主人公が描かれている。地方に溶け込まねばならない制服警官の苦労が十分に読み取れ、小説としても奥行きのある作品となっている。