400ページをこえる本だが一気に読んでしまった。ソ連崩壊前後の様子が佐藤氏の個人生活から鮮やかに切り取られ、読者を退屈させない。単なる国際政治分析本ではなくストーリー性もあり、なによりもあの時代に生きていたインテリや官僚達の生活の臭いがしてくる。著者は例の鈴木宗男スキャンダルの時にスケープゴートのごとく外務省から三行半を下された人物である。著者の外務省内部の描写も非常に客観的で好感がもてる。うらみつらみの感情があまり感じられないのはさすがと思わせると同時に、よけいに日本外務省のいいかげんさがよく理解できる良書でもある。
「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」で国策調査を一躍有名にした佐藤さんのソ連崩壊前後のおそらくはご自分の日記を元に外交官としての活動を書かれている。また神学者としての背景をお持ちの佐藤さんがいかにモスクワでアカデミックの中でも人脈を広げていたかが分かります。うがった見方をすれば、ここに書かれている事が全部本当なのか?一部はフィクションなのか?それとも外交機密として書けない事の方が多いのか?など気になる点も多い。さらに、友好を深め、接待を通じて情報を仕入れる場面が多々出てきますが(ゴルビーは生きているといち早くその情報を仕入れた事は有名)、日本側の情報は出さないのか?なども気になります。
<br />外交にしろ商売にしろ研究にしろ正しい情報が成功への鍵だと言う事はわかります。また佐藤氏の日露関係を良くしようとしていただろういう意気込みは十分伝わってきます。
<br />是非とも北方領土問題に関しても書いていただきたいと思います。
<br />#拘留直前のお姿(太り気味)はこの本に出てくるモスクワ等でのグルメ接待のせいだと思うの読み過ぎでしょうか?(笑)
この著は国策捜査で有名になった佐藤優氏の、外交官になった85年からソ連が崩壊する93年頃までのモスクワ生活回想録である。
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<br />恐らく事実であろう。
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<br />事実にしては凄い体験だ。ソ連の政治家、思想家等とのコネクションの構築の過程、ソ連邦各国でのクーデターに立ち会ったときのこと細かい説明、ゴルバチョフ死亡疑惑の際に生存の情報を真っ先に得た際の状況等々、現場に立ち会った著者の体験が次から次へと記されている。
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<br />『国家の罠』でも感じたことだが、著者が義理なり信念を非常に重んじているのが著書の軸を形成している。この軸からぶれない。それが国策捜査であれ逮捕された著者の本が広く支持されている理由の一つであろう。
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<br />もっと仕事をさせたかった、と思うと同時に仕事を今でも続けていればこの内容が表に出ることもなかったのかと思うと複雑な気持ちになる。早く次作を読むこととしよう。
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<br />ところで、著者の酒の強さには脱帽、本を読んでいながらもこちらが酔ってしまいそうな酒量である。御身大切に・・・
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