私個人のお話で恐縮ですが、今、我が家には一匹のシーズーがいます。名はメリー。(←陽気なので)オスです。13歳の高齢にも関わらず、私が職場から帰宅するとはしゃぎます。バタバタと。そして「ふ〜、ふ〜」と息切れをしてその場で可愛い舌を出したまま休憩。いつもお疲れ。有難う。
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<br /> さて、この本は、犬でありながら回想をし、飼い主の影響を受けて哲学的な思考さえも身につけてしまう犬の中の犬「ミスター・ボーンズ」の視点で書かれた小説です。
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<br /> 犬には人間の言葉が理解できるそうです。夢だって見ます。「ビクッ」とした時がそうでしょうね。メリーも頻繁にします。今も幸せそうな表情で、これを書いている側で口をモゴモゴ動かしていますが。美味しいモノでも食べているのでしょう。
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<br /> 話がそれました。動物が主人公の小説といえば、「吾輩は猫である」ですが、皮肉で理屈っぽい彼と違い、ボーンズはとにかく陽気。そして主人思い。病気の主人を支えながら300kmの道のりを踏破し、最後まで寄り添うボーンズ。犬側から人への愛を注いだ作品です。犬をめぐる現代の厳しさも描かれていますが全体的に温かいです。
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<br /> 一度読んでみてください。温まります。
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<br /> あ、またビクッとしました…
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声に出して読んでみるとよくわかるのですが、
<br />日本語のリズムに無理がなくて、耳にものどにも心地よい。
<br />柴田さんの和語のセンスのよさが感じられます。
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<br />物語は、冴えない男とそのペットの犬との
<br />まったくとりとめもない話なのだと言ってしまえばそれまでです。
<br />でも、毒にも薬にもならないということは、
<br />呼吸をするのと同じくらい、そこにあることが自然だということ。
<br />すっかり自分の生活の一部になっているということ。
<br />それは犬のみならず、何か生き物を飼ったことのあるひとなら、
<br />わかってもらえる感覚だと思います。
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<br />生き物を愛する、愛される。
<br />お互いにそんな関係でいられたらいいのに。
<br />年を取るのも死ぬときも、いっしょだったらもっといいのに。
放浪詩人に飼われていて、飼い主に先立たれた犬の話。身も蓋もなく要約してしまえば、飼い主に先立たれた犬が放浪し、車にひかれて、、、という話。
<br /> この犬は、話はできないけれど、人間の言葉はすべて理解できる。考え、思い出し、夢をみ、時々妄想?もみる。犬の視点からみた飼い主、飼い主の話していた作家になるように励ました高校の先生の話、家族の話、言葉遊び、などなどが、半ばとりとめもなく続いていて、最初は読むのをやめようかと思った。飼い主の入院風景などが、犬の想像?夢?で語られだし、俄然面白くなった。主を亡くし、食事にも困っていたところを孤独な少年ヘンリーに救われ、精一杯愛し、飼ってくれたけど、、、。そして、小さい頃からの病気で、外見は少女、中身は老熟、、というアリスの一家に必要とされ飼われ。でも、そこも安住の地ではなかった。愛して止まない主人を追って、ティンブクトュへ、、、。
<br /> その辺をうろうろしている犬は、こんな事を考えて、こんな夢を見ているのかと思った。道ばたで死んでいる犬は、ひょっとしてティンブクトュを目指していたのかと思った。読み終わって、ものすごく胸が苦しくなった。