リーマン予想をめぐる今日までの流れが良くわかる一冊です。多くの数学者の業績や失敗が綴られているので、とても勉強になりました。
<br />そして何より、表現が音楽になぞられていることが美しいです。これなら数学に普段親しんでいない方にも、数学の美を感じることが出来ると思います。
<br />ぜひとも多くの方に読んでいただきたい一冊です!
この本の全般の内容からは枝葉末節なのかもしれないが、ニュートンとライプニッツの微積分成立に関する争いについて、著者がちらりと語ったP.179からP.180の意見はとても参考になった。数学者の意見としてこういう見解は貴重だと思う。哲学と数学の境界領域を理解できる数学者または哲学者は世界中でも意外に少ないということなのだろう。またイギリスの数学界がリーマンの革命に乗り遅れたという著者の意見にも、知らないのは私だけだったのかもしれないが、なるほどとうなずけたものがあった。これに加えてないものねだりかもしれないが、ブルバキの活動の意味なども詳しくあればもっとよかったのかもしれない。でもそれは素数とは関係ないのかな?
リーマン予想に絡む事柄の脳内ネットワークを構築してくれます。リーマン予想に関わる発展の様子、関連するパーツがストーリ展開の中で、とてもよくまとまっています。だけど理論的な内容については、ほぼ皆無です。理論面に触れてみたいのであれば「素数に憑かれた人たち ‾リーマン予想への挑戦‾」(ジョン・ダービーシャー著)がお勧めです。