今や 時の人となった感のある 白州次郎を巡る写真集である。
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<br /> これを見ていると 白州がエリートであったことはいやと言うほどわかる。エリートというと 響きが悪い向きもあるが ある意味で正真正銘のエリート教育を受けてきた白州の背景が良く分かり 大変参考になる。
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<br /> 白州という苗字には「白」とあるわけだが 中々ご本人は カラフルな方であったろう。そんな 色彩のきらめきが 本書の随所から読み取れる。「筋を通す」という一点に 全てを掛けて来たかのような 白州次郎は このような背景で生まれてきたのかと 改めて感銘を受けた。
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<br /> それとともに 今更ながら 自分に対してエリート教育をどう施すべきかと考える。40歳を超えても、である。人間 学ぶことを続ければ 年を取ることは大して苦にならないとは 誰の言葉だったか。
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白洲次郎氏の軌跡を追いながら、白洲氏や家族の肖像、友人との写真、または白洲氏が愛用した持ち物(衣服、時計、鞄など)の写真が、
<br />美しく整理されて掲載されている。
<br />まず良い高級品でも派手な奇抜なものはなく、地味だが洗練されているものが好みだったのだと、本書をみて納得できた。
<br />(特に愛用のロレックス腕時計のオイスターやカルチェのアタッシュケース!)
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<br />あと白洲氏ゆかりの人物からの白洲評や思い出話しも、楽しく読めた。
<br />特に娘さんのエッセイは身内ならではの至近距離での話が満載でよかったです。
過去に出版された白洲次郎の本は多数ある。<br>恐らくこの本はそれらを意識して作られたものだ。<br>その意味で、最も良質であることに疑いをはさむことはできまい。<br>白洲次郎のことを知りたければ、まずこの本を手に取ること。<br>白洲次郎をさらに知りたければ、白洲次郎の本を買うのではなく、<br>白洲正子の本が新潮社には用意されている。<br>やがて、青山次郎、小林秀雄と展開していくだろう。<br>白洲次郎に感銘を受けたら、その背景を知ること、そしてそれは<br>日本の歴史をなしていることに気づくはずだ。<br>誰がこの男と無縁でいられるだろう。