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貝と羊の中国人 ( 加藤 徹 )

 昨今、経済成長面等からみた中国賞賛本、対して批判本と両極端な本が巷に溢れている様で、表面的な出来事 <br />だけでなく、では、なぜそのようなことが起きるのかの根の部分はなかなか見えてこない気がしますが、 <br /> この本は、著者いわく「中国人とは何ぞや」という疑問を歴史の深奥にまで踏み込んでかの国の本質を大づかみ <br />で捉えさせてくれます。 <br /> <br /> 中国人の祖型は、農耕民族集団の「殷」と遊牧民族集団の「周」がぶつかりあって出来た。 <br /> 「殷」の有形の財を重んじる貝の文化(本音)と「周」の無形の主義を重んじる「羊の文化」(建前)、 <br />この本音(財)と建前(イデオロギー)を使い分けるのが中国人。 <br /> また、流民のという視点から見た中国史、よって中国人は「流浪のノウハウ」を持っているとこと。 <br /> 中国3000年の黒幕「士太夫」---中間支配層、王朝は変わってもこの部分は変わらなかった。 儒教とは <br />「士太夫の士太夫による士太夫のための教養大系」であった。  現在は、「士太夫」が「党」に変わった等、 <br />斬新な視点が満載で参考になります。 中国を知るための良書です。 <br /> 

本音と建前という事を暗に示す好著です。<br />途中で貝と羊からズレて来たかなあ、と思ったりもしたが、最後でそこを思い出させたのか、しっかりとまとめましたね。<br />加上説というのが出て来たけど、これは遅れを取ったコンプレックスから来てるという。<br />我が国の日本書紀とて、壬申の乱から来ているのでも何でもなく、実は明治の国造りから始まったということが、改めて感心しましたね。<br />この本を読むに当たり、岡田英弘や宮崎正弘といった人達の本を併せて読むことを勧めます。<br />実は日本人も中国人も一緒のメンタリティ。<br />そして支那という言葉も元は差別語でも何でもなかったということもここで詳しくしています。

まず結論。絶対に買うべきです。中国人とビジネスをしようと考えている人、国際社会に興味のある人、逆に日本社会について知りたい人、もしくはこれからの社会を生きる若い人。目からウロコが何枚落ちるかわからないほどの秀作です。詳細は多くの方が賞賛されているので割愛しますが、たとえば本書で紹介される「ニーハオ・トイレ」について。なぜそこには個室という概念がないのか。理屈でなく感覚として納得できる。私も中国ロケに行った際、日本人の感覚ではあり得ないほど近づいてきてファインダーを覗くといった中国人の行為に仰天した覚えがありますが、本書を読んで「なるほど!」と思わず膝を打ちました。極論すれば、この本だけでも読めばいい、とすら思います。著者が意外と若いのにも驚きましたが、なるほど、だからこそ逆に屁理屈のスパイラルに堕ちずに「実践の書」になっているのかもしれません。読んでつまらなかったら私が金を返してもいいくらいです。

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