先入観なしに読むのがむずかしい題材なのに、読み始めると納得させられていく内容で、終いにはかなり引き込まれて、うなずきながら読んでいました。かくいう私も、西洋人による反西洋思想批判かと、最初はかなり偏見を持って読みだしたのです。2,3時間でざっと読んで楽しむのにも適した長さですが、きちんと論旨を理解しながら丁寧に読めば、薄さとは裏腹にかなりリッチな内容で、読後の満足度もかなり高いです。私は毎晩寝る前に一章くらいずつ、味わいながら読みました。新聞やテレビで目にするテロなどのニュースも、これからは新しい視点で見る事ができる気がします。
あるブログで絶賛されているのをみて、固い内容なのではないかと半信半疑で読み出したが、実際読み出したら止まらなかった。それというのも、反西洋主義(本では「オクシデンタリズム」と総称されている)の症例として、一見接点の無いように思えるナチス、特攻隊、クメールルージュ、毛沢東、スラブ派、タリバン、ジハード戦士などの思想上のつながりをテーマ別に、読者を飽きさせずに説得していく、その簡潔な語り口が、見事なのだ。この本の大きなテーマのひとつは「オクシデンタリズム」が西洋自身に起源を持つ、ということらしいが、自分的にはそれも目から鱗の視点だったため、大いに考えさせられた。タイトルからは想像できないが、歴史本や思想書というよりは、テーマが頭のなかにこびりつく、久しぶりによい意味で期待を裏切られる痛快かつ洗練された作品だった。そもそもこの手のテーマに興味を持つ人は、東洋・西洋(オリエント・オクシデント)というくくり方や歴史観になんらかの意見や専門性がある人が多のだろうし、重箱の隅をつつくような議論を好む人も多いかと察するが、本の主題に全面的に賛成する、しないは別として、楽しみながら知らなかったことを学び、読後の余韻に浸りながら、自分自身でも色々と考えられる、そんなことができる秀逸な作品だった。新書で値段も高くないし、文句なしに星5つ。
反西洋思想の源流は西洋にある、といってるわけですが、
<br />「神への反逆であるバベルの塔(近代都市)は崩壊するのが望まれている」
<br />みたいな宗教的な西洋人特有の斬り方のせいで、そういう結論が出てくるんじゃないかと。
<br />ドイツなんかの例だと上記の論は当てはまるのかもしれませんが、
<br />本当にアラブ人がそういう考え方をしているのかはわかんないです。
<br />見事な論理展開に関わらず、何故そう思うのかというと、日本の記述がおかしいから。
<br />なぜか、西洋を恨む自由と民主主義の敵である日本が戦争を仕掛けてきたという
<br />感じになってます。完全に連合国の低俗なプロパガンダそのまんまで、史実完全無視。
<br />「まずは我々自身が西洋を憎む人たちを理解してみよう」とかいいつつ、この認識。
<br />都合のいいように事象を切り取ってるんじゃないのかという疑問がどうしても湧きますね。