地球温暖化がいかに人類存亡をかけた大問題であるかをこれでもかと思い知らされる
<br />のは勿論だが、一番怖かったのは人類が今取りうる解決策が、石油から原子力への大転換、
<br />天然、自然の食料から合成蛋白を基にした人工食料への切り替えしかない、と断言している
<br />点だった。86歳のラブロック氏、大丈夫か。ただのオカルト本として軽視、無視、切り捨てていいのだろうか。反響の少なさが又気になってしまう。賛成にしろ、反対にしろ大いに
<br />盛り上がってほしいのだが。
地球はいま怒っていて、その安定を損なう生物圏である人類を地球温暖化によって絶滅させようとしている、といった表現で地球温暖化対策の緊急性、エネルギー利用政策の選択を明確に説いているのはわかりやすい。いくらかの批判を受けながらも、地球システムを「ガイア」として擬人化して地球規模の問題を警告している著者の努力と信念が感じられる本です。しかし、随所で述べているように、地球を擬人化する理由を「致命的な危険を理解するためにはメタファーが何よりも必要だから」としている点はやはり同調できない。結局のところこの本はオカルト本だったのではないか、という印象がぬぐえないのだ。著者にとっては私も「典型的な視野の狭い理系人間」ということなのだろう。
地球をひとつの巨大な生命体と考えるガイア思想のラブロック氏の地球診断書。
<br />地球環境の危機的状況を知らせ、人類へ警告を打ち鳴らしている。そしてより多くの人に地
<br />球の性質と危険の理解を得るためにメタファーの重要性を説く。
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<br />この本は地球の病状を知るのみならず、生命とは何か、この世界とは何か、人間とはどうい
<br />う生き物かを深く考えさせられる。同時に従来の環境保護の誤りや失敗を指摘し、原子力や
<br />発ガンという人々が持つ恐怖に対してメスを入れ、人類が今後地球とどう接するべきかを
<br />文明の灯を消すことなく提案する。無駄なページがひとつもない本。
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<br />ガイア理論はまだ暫定的なもの。しかし未来という時間スケールで見通すなら人類はガイア
<br />思想を獲得し、理論を成熟せねばならないと思われる。地球は人間の私物ではなく、人間が
<br />地球の一部であることを知らねば地球は崩壊し、人類の未来もなくなる。
<br />今は早急に目の前に危険が迫らないと気がつかないという人間の性質と戦わねばならない。
<br />ふるさとガイアの概念は遠い未来、宇宙へと旅立つ人類にとっても有益になるのだから。