おもしろい。
<br /> 文芸批評の分野では、多弁的で情緒的な本が多いなか、本書は、抑制された文体で、手際よくまとめている。
<br /> たまに世間から飛んできそうな「文芸批評って、何してるの?」と問いに対し、説明責任を果たしている。著者は、文芸批評業界の一端でありながら、この説明責任に関し、業界を背負っているような気概を感じる。新書こそ、本書の舞台にふさわしい。
<br /> 批評理論諸説の概説にとどまらず、「小説はここまで読み込める」ということを示している。また、「人間とは何か」「世界とは何か」という問いに対する鋭い洞察が、さらりと書いてある。
<br /> だから、文学や文芸批評に興味ない人にも、おすすめである。
<br /> 個人的には、「脱構築批評」よりも、「透明な批評」に、親近感をもった。
「フランケンシュタイン」一本で例示しており、批評理論から文学作品を
<br />読み解く入門書としてはうってつけでしょう。
<br />だが「批評」とは何かについての根本的問いが欠けているので、批評=文学
<br />作品の方法論に基づく分析、というごく平凡な前提を刷り込む結果にもなっ
<br />ている。
これまで、小説の批評は読んだ感想や感じた印象を表現するものと思っていましたが違いました。<p>小説を「読む」というより「理解」するためのテクニックが満載です。<br>この本を読んでると「この人はすごいな~」とつぶやく事が何度かあります。<p>読んでみてください。小説を新たな気持ちで読んでみたくなりますよ。