著者は、西洋音楽が、民俗音楽であると確信したうえで、それが音の文字(楽譜)として分化することにより1000年間の歴史となって現在に繋がっていることを巧みに紹介している。因みにいわゆるクラッシック音楽はその内の200年ほどである。
<br /> 西ローマが滅亡した後、フランク王国が誕生したおよそ1000年ほど前から話が始まり、中世、ルネッサンス、絶対王政、啓蒙と革命、近代から現代へと時代が変遷するにつれて、西洋の人々にとって音楽の意味するところも変遷していく様が興味深く語られている。
<br /> それは、コブシの効いた読経から始まった宗教的表現や統制であり、少数のエリートが味わうことの出来た背徳の快楽であり、解放された個人の作品であり、進歩する人類の啓蒙精神の表現であり、プロが開陳するハッタリの効いたみんなの曲芸物であり、等々、であった。
<br /> この“等々”のところは近代から現代に至る部分で、歴史解釈はチョット早いのかもしれないが、現代における感動中毒的音楽の洪水は、宗教なき時代の人々が抱える精神的危機の兆候かもしれないと言う著者の感性には共感するところがある。
帯に「流れを一望」と書いてあるだけあって,この一冊で西洋音楽史の流れおおまかにをつかむことができます.
<br />いわゆる「クラシック」として有名な時代よりも前の時代から説明されています.
<br />自分の好きな作曲家がどこに位置づけられているか,どのような評価を受けていたかなどを簡単に知ることができます.
<br />また,音楽史についての本ですが,時代ごとの社会状況や背景が説明されていて,分かりやすいです.
<br />音楽が好きな方にはお勧めですが,誰にでもざっと読めるように書かれていますので,すでに音楽史をある程度ご存知の方には物足りないかもしれません.
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西洋の社会、時代、文化の流れの中からクラシック音楽を捉えている。従来の音楽史では、作曲家列伝のみが強調されていて、それぞれの作曲家の土壌となった社会背景が見過ごされてきた。
<br />この本では、その点を正確に詳細に述べていて、クラシック音楽の大きな流れをつかむことができる。そういった時代の流れの中からクラシック音楽を理解することがぜひ必要であると思う。
<br />そして、現代音楽と呼ばれるものが、今や、サブカルチャーとなっていることも良く理解できた。