大学受験向け小論文が専門かと思っていたが、最近では著者は小学生向けの読書感想文の書き方の本を書くなど、着実に領域を広げている。そこで、今度は論文の書き方についての本である。いわゆる文章の書き方に関する本はこの人が第一人者であるが、別に氏は教育の専門家でもない。本来であれば学校できちんと教えられてしかるべき内容のことが、手を変え品を変えこの人の本で教えられている格好になっている。教育行政当局も早くこの事態に気づいて対策を取らないと、文章教育はいつまでも、在野の非専門家任せになってしまいますぞ。本に対する評価は、論文は小論文の延長という暴論が書いてある点と、これまでの著書の焼き直しが多いという点から星2つとしたい。
著者は大学受験向けの小論文指導で20年以上の実績をもつ人だそうだ。ためしに検索をかけて見たら100冊以上の著作が出て来てびっくりした。<p>さて、本書の作文対象は、感想文、エッセイといった散文ではなく、あくまで論説文である。また、試験時に短時間で書く小論文ではなく、ある程度の時間をかけて調査し、執筆することを前提としている。<p>樋口氏による論説文の組み立ては、<p>①問題提起 ・・・何を問題として取り上げるかを書く<br>②意見提示 ・・・それに対する自分の立場、意見を明確にする<br>③論拠陳述 ・・・自分の意見の根拠を示す<br>④まとめ<p>という流れで整理されており、大変わかりやすい。<br>文章構成については、昔から起承転結とか序論、本論、結論というが、これでは今ひとつピンとこない。そこへいくと樋口氏の説明はとても具体的だ。特に、③自分の意見の根拠を示す、にあたって、いかに説得力のあるネタを集めるか、集めたネタに独自の分析を加えるかついて、紙数を割いて解説している。論文の例題も掲載されていて、理解しやすい。<p>著者はしかし、論文やレポートを書く力というのは文章力でも構成力でもなく結局のところ知識だ、という。問題領域に関心があり、いろんな意見を見聞していて、さらにデータを持っていれば、おのずと人を唸らせる鋭い論文になる。逆にいえば、いかに文章を書くテクニックに優れていても、知識が不十分では良い論文はかけない。<p>ということで、本書の主張は、やや逆説的ではあるが、「やさしい文章術」など覚える前にまず本を読め、ということである。受験生の親として、作文の苦手な息子がなんとかならないか、と本書を手に取った私があさはかだった。本嫌いの息子にまずは良書を忍耐強く薦めてみたい。
「レポートや論文て一体どうやってかけばいいのだろうか?」<br>その疑問に丁寧にこたえてくれる本です。基本的な文章の書き方、<br>初歩の作文技術から文献や資料の集め方、アイデアの組み立て方など<br>およそレポート・論文を作成する上で疑問となることのほとんどを<br>詳しく論理的に解説してあります。実際どうつかえばいいかの例も<p>ちゃんとのっています。この本をきっちり読めば、安心して作成に<br>とりかかれること間違いなしです。