読売ウィークリーに連載された著者のコラムを集めたもの。脳についてのいろんな話題について、小難しい話ではなく、話題豊富に書かれている。
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<br />気軽に読めます。
著者の作品全般の特徴である章序盤の「つかみ」の巧妙さは健在だ。著者の研究テーマである「クオリア」の学究的姿勢からは距離をおき平易な内容の中に時折クオリアを混在させ脳科学本としてのバランスをとった。章ごとの内容の質に片寄りがあるがそこで思考を区切ってしまうことをせず、並列に思考を滑らせることで難解なクオリアの尾っぽ捕らえることができる。クオリアを俯瞰しリラックスしながら捉えたといっていい内容だ。
第一章は、脳科学の啓示とヒントに満ちた楽しい内容。メタ認知、クオリア、脳と心について理解する上でも高いレベルの話が非常に分かりやすく楽しく書かれている。
<br />第二章以降の後半は、同一の著者に書かれたのかと疑ってしまう。惰性とインタビュー本的エッセイで退屈になって行きます。この本の内容をメタ認知的に総括すると=驚きの神童が気がついてみると普通の退屈な大人になっていたという典型的人生コースを絵に書いたような本でもある。あるいは、著者の多重人格性?を示すエッセイなのかも知れない。
<br /> 茂木健一郎を簡単に知るインタビュー本だと思えば非常に手ごろな一冊。