日本を語った対談の本。司馬遼太郎は司馬史観で有名な作家で、キーンは日本文化の研究者です。
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<br />彼らの意見は容易には合致しない。司馬史観は、どこかしら日本的ではなくそれだからこそキーンさんに反論の余地を与えている。
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<br />一方キーンさんの意見も単独ではやや味気ない。
<br />二人が意見を戦わせるところに面白さがあるのだと思います。
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<br />猛烈なスピードで一読、その後に再読してしみじみとした味わいをかんじることの出来る本でした。
所謂、司馬遼太郎的日本文化論と一般の日本人以上にわが国の文化を習熟するキーン氏の対談集です。<p> 司馬氏の講ずるところは、今までの小説、エッセイ等のの集大成的なもので納得と供に「またこの話か」といったところです。楽しめるのはキーン氏の異国人としての客観的視点かつ充分な研究に裏づけられた意見、返答に対し「巨人」司馬氏もしばしば旗色が悪くなる場面がしばしばある点です。無論、成熟した大人の二人ですので醜態をさらしたり、各々にとって独善的な結論となることはありません。司馬氏の考えに対し共感を多く得ていた小生としては驚愕の念とともに斬新な1冊となりました。<p> 両氏のコラボレーションは現場の雰囲気を夢想してしまうほど濃密かつ異次元なものです。司馬遼太郎ファンの方はかなり楽しめると思います。
対談本って、安直な読み物のような気がしてあまり好きではないのですが、この本は大丈夫です。読めます。<p> 日本人の美的意識について、本書はその多くの時間をかけています。日本文化の美意識がどこから生まれ、何に影響されたのか。彼らが言う吸収しても排出しない日本文化、そんなものをより深く理解させてくれます。<p> 司馬氏はともかく、ドナルドキーン氏の日本史に対するその知識の深さには驚かされます。<p> 不景気で日本人が自信をなくしている昨今、元気が出る一冊です。