1971年に山と渓谷社から出た単行本の文庫化。<br> 1971年にグランドジョラス北壁の冬季登攀に挑んだ記録。<br> 死と隣り合わせの危険な体験が、迫力ある文章で綴られた名登山記。想像以上に困難な岩壁、突然の猛吹雪、凍傷の恐怖など、次々と困難が襲いかかってくる。一歩、足を踏み外せば自身と仲間の命はない。そこで試されるのが人間の精神力の限界である。<br> 引き込まれるように読み切ってしまった。<br> 次代の登山家のための「北壁ノート」なども併録されている。
山を始めたばかりの頃に読んだ。<br>登攀記にありがちな大袈裟な表現が抑えられつつも臨場感に溢れ、<br>ただの山極道ではない著者の文章力に畏敬の念を感じた。<br>『マッターホルン北壁』から続き、ジャヌーに至る山岳同志会の歴史の1ページを記録している。<br>小西氏の本はどれもお勧めだが、一つ選ぶとしたら、この本だと思う。<p>最近は手元に置いてないので暫く読み返してないが、生きた言葉、生きた文章のオンパレードで、<br>将に正調小西節ここに極まれり、といったところか。<br>ワシが尊敬し、その著書を愛読していた元零戦パイロットの<br>坂井三郎氏に性格も文章も近いものを感じ、現場を指揮するリーダーの典型を見る思いがした。