常に新境地を開拓し、時代の先駆者としていまなお旺盛な創作活動を続ける細野氏
<br />の思考の一端が垣間みれる充実の著作です。
<br />いままで「地平線の階段」「THE ENDLESS TALKING 」「観光」など、その時代
<br />ごとに鋭敏な感性に触れたモノへの考察を発表していますが、今回は特に興味深く、
<br />激変する昨今、多方面でのパラダイムシフトの中において、流されず、淀まず、
<br />ブレることなく、いかに自己に誠実で純粋な創作活動を行っていたのか・・・。
<br />平易な言葉で語られている精神性についての深みに、とても共感を覚えます。
<br />また、時間の経緯で内省されているので、どのように楽曲へ還元されているのかを
<br />聴くことで、なお一層深遠なる細野ワールドを読み解く切掛けになります。
<br />個人的には、リアルタイムで、同時代に生きている事を有難く思える気分になり、
<br />日夜真摯に創作活動を続けている、あらゆる分野の同士へお勧めできる一冊です!
細野晴臣さんはとても穏やかな顔つきをしているけれど、本書を読むと、内面に過大な葛藤を抱えた人なんだなということがわかる。パニック障害など、うつ病に類似した病の経験、そしてどう治療していったかということも書かれている。そうした自己の問題にからめて、ネイティヴ・アメリカンとの交流、自然への思い、アンビエントミュージックへの傾倒が語られる。僕には、とても参考になる考え方が記されていた。読んでいて、とても穏やかなきもちになれるし、きもちが落ち着きます。読んでから、スケッチショウのアルバムを聴いてみたら、いい感じで力が抜けた音で、好きになりました。