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皇国の守護者〈9〉皇旗はためくもとで ( 佐藤 大輔 )

卑劣で低劣で下劣。おぞましさすら覚えるほどの醜い内面。禍々しい性根。 <br />主人公,新城直衛を描写した言葉である。 <br />しかし,私には,どこをどうとっても,そんな描写が似合うとは思えなかった。 <br /> <br /> 部下を一人でも多く逃がすために,単騎で敵騎兵隊に突っ込んでいこうとしたり,兵の疲れを軽減するために,背嚢を降ろさせたり馬車に兵を乗せたり,しかも自分自身にだけは背筋を伸ばして先頭を立ち続けるという厳しいものを律する。 <br /> 少年兵には哀れみに似た感情を持ちながらも,それに流される指揮官の愚かさを知るが故に,自身のその感情を偽善だと感じて苦々しく思う。 <br />『人間らしいすべての感情は捨てろ。その贅沢に浸るのは,戦いが終わってからだ』 <br />だから,必要とあらば顔色を一つも変えることなく事を決する。 <br /> 幼少の頃を引き合いに出して,歪んだ性格と位置づけてはいるが,私にはむしろ,卑怯な軍人が多い軍部の中にあって,頑固に筋というものを守ろうとしている好ましい人物に見えた。 <br /> だから,あらゆる登場人物たちからの『軍才はあるが,人間性は著しく低い』『卑劣で低劣で下劣で醜い』という声には,かなり無理があるように思えてならない。 <br /> <br /> 私は,この話が大変好きだし,新城という人物が大好きである。 <br />実際,2巻〜4巻くらいまでは,兵には好かれている指揮官という感じだった。 <br />それがなぜか,巻数が進むごとに,完全に嫌われキャラへと変えられていく。 <br />「好んで仕えたい上官ではない」「嫌いだ」「部下を人間扱いしてない」 <br />いやいや,そんなわけはないだろうと。 <br /> この先は,是非とも正当な評価を主人公にあてて欲しいものだと切に願っている。

佐藤先生のシュミレーション小説は設定のリアルさが好きだったので、本シリーズは正直「喰わず嫌い」だった。 <br />ファンタジー世界なんですよ。設定が!ハリーポッター的世界。 <br />30代のオッサンが入るにはツライでしょ。 <br />ところが読んでみると、「龍」「剣虎」もリアルなことこの上ない。 <br />完全な「ウォーシュミレーション小説」だった。 <br />続きが読みたくて仕方が無い。 <br />だけど この先生の最大の難点は「遅筆」なんですよね。 <br />俺が集めていて終わっていないシリーズが、こいつで4シリーズ目。 <br />ブランクが3年とか平気で空く。 <br />それを耐えられる人にはタマラナイと思います。 <br />まずは1巻から買って、ゆっくりとこちら側に来てもらえれば。 <br />

 私は、この作者の作品を読み続けて6年くらいになります。一見専門的に武器等のスペック(性能)を本の中で説明していますが、本来作者が伝えたいことは、「人間性」と「現場指揮官としての統率」は違うこと。「情報収集と分析の大切さ」とその情報を用いることは、知性であること、戦争を嫌うからといって戦争を考えない=武力に関することを遠ざける愚かしさを述べています。 <br /> 中間層の方や、情報の大事さをご存知の方に、是非読んでいただきたいと思います。 <br /> 特に、悩んだとき、「原則が何か」という心構えを再確認する手助けになるのではないでしょうか! <br />

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