安藤忠雄の人生訓のような内容です。
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<br />あとがきにある、
<br />「どれだけ力を尽くしたところで、大抵の場合は報われない。だが、挑戦は決して無駄ではなかったと思っている。(中略)モノをつくる、新たな価値を構築するという行為の大前提が、この戦い、挑戦し続ける精神にあるように思う。」
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<br />「大抵の人間は、この苦難のときを耐え切れずに終わってしまう。しかし、ル・コルビュジエもカーンも、決して諦めなかった。妥協して生きるのではなく、戦って自らの思想を世に問うていく道を選んだ。与えられるのを待つのではなく、自ら仕事を作り出していこうとする、その勇気と行動力こそ、彼等が巨匠といわれる所以なのである。」
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<br />Exactly!
<br>安藤忠雄氏の東京大学大学院での講義をまとめた本。<br><br>華々しく建築コンペ(設計競技)を勝ち取っているかに<br><br>思えるあの安藤忠雄が、実はたくさんのコンペに参加し、<br><br>とても沢山負け続けていると知り、大変に驚きました。<br><br>公明正大と思い込んでいた建築コンペも実は妥協の<br><br>塊で必ずしも、最も優れたデザインが勝つわけでは<br><br>ないこと。安藤氏のような優れた能力の方であっても<br><br>勝つためには周到な準備が重要であることを知り、<br><br>違う業界に住んでる人間としても、学ぶべきことが<br><br>沢山あり、とても有意義な本。<br><br>建築を志す人は必読でしょうし、またそうでなくても<br><br>人生の様々な局面で挫折しかかった時に読めば、<br><br>勇気が湧いてくるような素敵な良い本です。
夢舞台での国際会議に出席することで現地を訪れてすっかり安藤建築のとりこになって帰ってきました。淡路島の自然や景観、気候にあった建物と建築プランのおかげで、非常に心地よく淡路での時間を過ごすことができました。この本を読んで、あの建築の背景にあった著者の感性の一端に触れることができたかどうかは謎ですが、しかし納得させられるところが大きかったのは確か。他にも個人的に大好きなロンドンのテートモダンなどのコンペへの参加もあったということで、さまざまな有名建築の安藤案も惜しみなく見せてくださっています。行ったことがある有名建築が必ずあることと思いますので、実現しなかった安藤案に思いを馳せてみるのもまたよろしいかと思います。