言語とは、外部から与えられたものであり、本当に自分の表現したいものとは、どうしてもずれが生じる。
<br /> 子供の言語感覚が、大人には想像もつかないユニークな表現を使うのはその表れである。
<br /> ちょうど、前に読んでいた岩井克人の本と同じようなことが書かれているので、何かうれしくなった。
<br /> いずれにせよ、英語でも日本語でも微妙なニュアンスがあるもので、言葉の感覚を磨かなければと思った。
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いわゆる「認知言語学」が日本に導入される前から独自の研究領域を切り開いてきた泰斗の著作。
<br /> 近年の有力であった「形式主義」的なアプローチからは、無視あるいは軽視されてきた言語の持つ意味や感覚について正面から切り込み、様々な素朴な疑問や身近な事例を挙げつつ、言語というものの意味的・感覚的性質に迫る。
<br /> 一部に誤解があるようだが、このような認知言語学的アプローチは「ほどほどに」言語の本質に迫るのではなく、これまでのアプローチが明らかにできなかった曖昧模糊とした言語の本質である「意味」「感覚」に大胆に切り込もうというものである。むろん本書のみでその目的を達成できたとはいえないが、そこにいたる確実な一歩が本書であると言えよう。