僕は市川拓司の「いま、会いにゆきます」で
<br />主人公が彼女とデートの待ち合わせの時に読んでいた本ということで気になり買った本なのだが、
<br />爆笑問題の太田光はこの本を「人生を変えた本」と称し
<br />自らの事務所の名前を「タイタン」にしたというエピソードを持っている。
<br />この本はいわゆるSF小説で非現実的な世界で繰り広げられる
<br />大人の描いた子供用の漫画といったストーリーなのだが、
<br />要所要所に現代に生きる人々に痛烈な皮肉を込めた社会風刺が入っていたり、
<br />最終的には人はなぜ生きるのかを問う哲学本となっている。
十年に一冊、このレベルの本が出てくれればいいですね。
<br /> ヴォネガットがかいているのはSFの形式を取り入れた純文学、だと思う。専門用語でスリップストリームというが、まあ、そういうわけで、SFが苦手な方も是非手にとって読んでほしい、至高の一冊。特別読みにくいということもない。
<br /> ヴォネガットがテーマにしている、「永遠」、そして、「自由意志」がふんだんに取り込まれた、初期の代表作。自分たちが生きているのは大きな流れの中の一部。宇宙的観念から見れば自分達の生きているのはほんの一瞬だけれど、逆説的にいえば、それは永遠に生きつづけているのではないか? SFと哲学は相性がいいが、大上段に構えて哲学をぶちまけるのではなく、軽いユーモアとアイロニーの中に覆い隠し、さらっと読ませる、くせに、深い。
<br /> ヴォネガットの小説は普遍性を持っている。その小説のスタイルも独特。アメリカの大学生から絶大な支持を受け、村上春樹をはじめ、日本の小説家たちにもおそらく影響を与えたヴォネガット。
<br /> 一度読んでほしい。歴史に残る小説だろう。
多くの読者と同様、爆笑問題太田氏の薦めでこの本を手に取った。
<br />内容が小難しいため、太田氏を信じ、絶対に面白いから最後まで読もうと思わなければ、最後まで読みきることはできなかったような気がする。SF嫌いの私は非科学的で荒唐無稽な話に辟易したが、一瞬でも人類を俯瞰から見るという経験ができたことは大きな収穫。オチの意味を太田氏が公言していたので、本来なら一番の見せ所となる最後のオチはありがちという印象しか受けなかった。フリが低すぎてあまり落ちなかった(落差がない)感じ。
<br />爆笑問題太田氏のファンなら、この本は読んでおきたい。この本は彼の哲学の基礎となっている。ファン以外も、1人の人間にそれほどの影響を与えた本なら、読んで損はないはず。私も読んで損したとは思っていない。