蒼穹のファフナーが大好きだったからと言う不純な動機で買ったのですが…面白いの一言でした。<br /><br />こうゆう独自の世界観だとカタカナの都市名や独自の言葉、人物の長い名前などの羅列に辟易することが多かったのですが、これはとても読みやすかったです。<br />そして評価の高いカジノシーンは、もう引き込まれます!<br />
内容】背景は電子工学の発達した未来のアメリカ
<br />心に重い傷を持ち、自分を第三者的にみる感情のない人形の様な少女。
<br />その少女が騙され、犯され、殺される所から物語は始まります。
<br />(厳密には死にません)
<br />
<br />批評】序盤は非常に重い内容で、書いている記述も
<br />レイプ裁判のネタを参考にしているためか
<br />15禁くらいの内容で子供には読ませられない話です。
<br />
<br />分かりにくい例えかもしれませんが、シドニィシェルダンの
<br />レイプ物(題名忘れた)と映画マトリックスが混じったような話です。
<br />
<br />しかしながら、少女はこの時代の最先端の技術で蘇り
<br />どうしようもないほど優しい1人と1匹に巡り会います。
<br />そこにウィットの効いたジョークと変わっていく少女の心の変化が
<br />たまらなく心に響きます。
<br />
<br />全3巻にて最高の終わり方をしています。
<br />しかし、個人的には面白かったのですが
<br />カジノ編が400ページ以上あり、それだったら彼らの日常編を少しでも
<br />入れて欲しいと思いました。
<br />世界設定がそのせいで曖昧ですしね。それだけが残念
<br />(カジノ編はそれ単体で本が作れるほど面白いです)
カジノシーンは多くの方が指摘されている通りに興奮します。以下に並んだ書評を読んで本書(三部作)を手にとった者からすれば期待通りのパフォーマンスでした。偉そうですが。
<br />
<br />「物語の既視感」とはよく言ったもので、著名な批評家がその当時の売れっ子作家を指して評した用語です。「物語の既視感」とは「過去にいつかどこかで見たことのある話だ」という意味です。当時も今も変わらぬ売れっ子作家へと向けられたこの評価は、現在の文学(?)とりわけ、数多くのライトノベルについても当てはまるように思います。
<br />
<br />戦闘系美少女の代名詞である「綾波レイ」を主人公に見立て「SPAWN」の世界観を拝借した作品。『マルドゥック・スクランブル』三部作に対する私の中での「物語の既視感」は概ねこのようなものです。
<br />
<br />作者と年齢が近いからでしょうか。小説に完全なるオリジナル性を求めることが酷であることは承知しております。しかし、作品上の「物語出自」を見過ごすには、少々それらは露骨過ぎました。
<br />「たしかどこで見たり、聞いたり、読んだりしたことのある」作品、この「Well made」な物語性こそ、安定した「マルドゥック〜」の人気を支えているのかもしれません。「良質な職業作家」の誕生は、いつの時代も歓迎されるものですから。