節足動物の定義に基づき、カンブリア期の動物群の異質性が述べられている。基本的な節足動物の概念図が載っており、この概念図を基準に生物の門だとか、綱目だとかが判断されているのだと、初心者ながら古生物学に興味を持てた。
<br />ただ、文庫本で500ページ以上の量なので割とくどい。一般読者にわかりやすく説明しているが、やはり難しい用語が多く、解剖学などの素養も必要とされる。読むのが結構しんどかった。
<br />それでも、いろいろなバージェス動物が登場し、復元図などが掲載されていて、非常に興味をそそる。節足動物と脊索動物が合体したような動物なんていうのは、もしこれが進化すると、エビ人間(あるいはエビボクサー)が現れるのだろうかなんてのも考えたりした。
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<br />ラストにある知的生命の発生の可能性についてのコメント、すなわち知的生命が発生する可能性は非常に小さいのではないかということについては、ショックだった。
<br />やっぱりこの宇宙の中で、人間という知的生命体は一人ぼっちなんだろうか?
"断続平衡説"で著名なグールドの「フルハウス」と並ぶ一般読者向け代表作。バージェス頁岩で発見されたカンブリア紀の化石を基に、発見の過程やそれに基づく自説等を情熱的に述べている。情熱的なのは勿論この発見が自説に都合が良いと判断したせいである。過度の冗漫性のおかげで不必要に長くなっている本書を要約すると次の3点に尽きる。尚、本書では一般に使用する多様性とは別に"異質性"という概念も用いている。異質性とはある時代における生物設計パターンの多様性という程の意味である。
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<br />(1) 異質性はカンブリア紀に最大となり、現代に向かって徐々に縮小している(ただし、現在の種の多様性はさすがに認めている)。単純な生物から次第に(規則的に)複雑な生物へと進化する生命樹のイメージは間違い。
<br />(2) 歴史のある時点、例えばカンブリア紀で時間をリセットしてリプレイした時、地球上生物は現在と同じ姿となっているだろうか(特に人類は誕生していただろうか)。グールドの持論である「進化は偶然の賜物で、必然ではない」を強調したもの。
<br />(3) カンブリア初期に見られた生物の爆発は、新奇の進化説でのみ説明できる。
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<br />(3)は現在でも原因不明で緒説ある。(1)は本書発表後、グールドが異種性と捉えた多くの生物が従来の"門"に属する事が確認されている。(2)は近年"収斂"という概念が取り上げられ、グールドの説には否定的見解が多い。
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<br />進化の考え方には未だ決定打が無い。本書はバージェス頁岩の化石の発掘過程、その研究の様子を克明に表したもので、この方面に興味のある方には好適の書である。「フルハウス」と合わせて読むと、グールドの機知と考えが良く分かり得られる所が大きいだろう。
デシメーション(悲運多数死)というのを最近知った
<br />100の種の内10種しか生き残らない。
<br />ダウインの進化論とは、装いを新たにする進化論
<br />5つの目を持つOpabiniaなど、明らかにデザイン
<br />の異なる化石の発見は、バージェス動物郡の大半が既存の
<br />どんなグループにも属さないことを意味する。
<br />巨大隕石の落下などの環境変化で、多くの種が滅び、
<br />生き残った種が多様化する。
<br />人類が自意識を持つ存在に進化する可能性が圧倒的に
<br />低かったことを論じている。
<br />地球の年齢が45億歳とすると、現生人類である
<br />ホモ・サピエンスが起源したのは、現在では25万年前
<br />と推定される。
<br />現在、人類は、地球の支配者のように振舞っているが
<br />地球の歴史の中では、今だ、ほんの一瞬の存在でしかない。
<br />この本は、文庫本にして570頁あり、
<br />この本の重要な仮説は、第1章の終わりにあり
<br />結論は、第5章「実現しえた世界−”ほんとうの歴史”の威力」
<br />にある。私の場合、進化論の意味がしりたかったので、
<br />まず、1章そして5章の順に読みました。
<br />気の向くままにあちこち飛ばして読んでも十分面白い
<br />バージェス動物郡、そのありえないようなデザインを
<br />紹介している3章も実に楽しい。