「ギムレットには早すぎる」で有名な本書。名台詞があるだけでなく、作品の完成度も優れており、ミステリーの範疇におさまらない、一流の文学作品に仕上がっています。先ほどの台詞は物語の最後の鍵となっているので、未読の皆様はギムレットを飲むときに隣の女の子にそっとささやくだけでなく、出自を確認しておくのは礼儀だと思います。
<br />駄目なテリー・レノックスになぜマーロウはそんなに手をかけるのかよくわからない面が多々ありますが、本書から男の生き様について教わることは多いはずです。男は我慢しなければならない局面がいっぱいあります。自分に好都合のことでも、マーロウは自分の信念に正直なのです。つまり自分の信念が No といったら絶対にそちらを選択しません。本当損な生き方をしているのですが、マーロウは自分を変えません。その生き様に私たちは震えるのです。
<br />今回で3回目の再読。いつも私たちに新しい感動を与えてくれる本書はいつまでも手放せません。だんだん本書のマーロウの年齢に近づいていく私ですが、マーロウの生き様に近づけるのはまだまだのような気がします。いくつになっても本書から教えられることばかりなのでしょう。こんな場合マーロウはどうするのか。こんなことを考えながら、数年後また手にとることでしょう。それにしてもローズのライムジュースで作ったギムレットを飲んでみたい。
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突然の関西出張で、車中と、待ち時間に読んだ。
<br />京都、大阪の風のない街中で、本書を読み、
<br />一人で飲む酒の味はまた格別だ。
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<br />20代で読んだときは、Barで一人で酒を飲むなんて、
<br />全く考えられなかった反面、一緒に酒を飲む友人は何人もいた。
<br />今は酒は一人で飲む。友人は一人もいない。
<br />一人で飲むようになってはじめて、
<br />マーロウやテリーの心情がわかるようになった。
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<br />10年前は気づかなかったが、今回気づいたことは、
<br />この名作に、最後のほうで一瞬だけ日本人が登場すること。
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<br />50年前の作品だが、全く古さを感じさせない。
<br />チャンドラーの結構は全編にわたって揺ぎ無く、
<br />マーロウのせりふは光を放ち続け、
<br />最後の一行を読み終わった後も、
<br />深い芳香はいつまでも消えることがない。
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たぶん今回3回目くらいになりますが再読してまたしても感銘を受けました.チャンドリアンにはたまらない一冊.ギムレットを飲みたいと思わせてくれた一冊でもあります.日本語で読んで英語で読むとまたさらに味わい深いです.ハードボイルドを文学研究の対象にさせたともいえる大作.