シリーズ四度目となる登場で、彼:シッド・ハレーもだいぶ丸くなったようだ。初登場で31歳だった彼も恐らくは、「不惑」を超えたハズだ。ここには、もう「自分自身を否定し、卑しんでいた」彼の姿はない。彼は、事故と事件(!)で「左腕」を失ったが、「誇り」は取り戻したのだ。今の彼に弱点はないハズであったが・・・。
<br /> 今回の敵は卑劣にも、彼自身ではなく、彼の新しい恋人:マリーナを標的にする。彼と彼女がこの苦難をどう乗り越えるかが今回の山場だ。シッド・ハレーはもちろんだが、マリーナが良い。とても魅力的に、そして力強く描かれている。
<br />*個人的には、別れた元妻:ジェニイとの関係も悪くはないようで、少しホッとした:笑。
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<br />最近流行りのダーティーヒーローと比較すると彼:シッド・ハレーは良い漢(おとこ)過ぎる(真面目、正直、礼儀正しいetc.)ので少々物足りない貴兄もいるかもしれないが、私は彼のことが好きだ。世間に悪ぶって生きる(チョイワル?)より、彼のように正々堂々として生きたいと思う。
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<br />PS
<br />もはや誰が「競馬」シリーズを書いたのかは、大した問題ではないと思う。なぜならこのシリーズにとって、「騎手:ディック・フランシス」の存在は不可欠なのだから・・・。
<br />「再起」したシッド・ハレーとフランシス翁に乾杯を!
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Mr.Stoicことシッド・ハレーが帰ってきた!待ちに待った新作は銃撃、PC、インターネット・ギャンブルとかなり現代風。作者自身の高齢化、長年の間「ゴーストライター」説のあった夫人の死、さらに名訳者・菊池光さんも亡くなってもう2度と新作は読めないと思っていたのに再び新作登場!一気読みです。
<br />ネタバレするので詳しくは書かないが、筋書きもしっかりしていて登場人物も魅力的。
<br />では、誰が書いているのか?という疑問は、巻頭の謝辞がヒントかもしれない。おそらく作者は○○?でしょう。