藤原氏の著書を読んで思うのは、その思考プロセスの原稿化が卓抜なことです。原稿、文字化はつまるところ記号化になるわけで、十分に味わうには、時をおいて再読するすることが必要な気がします。記号化はステロタイプのひとつだからです。さて、本書はオウム事件を独自の切り口で読ませ、そして「印度放浪」のころを思い出させ、現代人の精神的危うさを訴えている秀逸な作品です。
オウム事件の時まだ中学生だったので、改めて客観的に考える機会を得れたと思っている。時代とはこんなにつながっているのかと感じた。藤原新也氏のサイトのほうも本と連動していて、すごく今の時代に対して必要な視線を投げかけていると思うのであわせて読んで欲しい。そして、インドへの旅の部分もすごく勇気付けられた。いまこの本が世の中に出たことが僕にとってはありがたいことだ。
兼ねてから「世紀末航海録」の読者でしたが、何故突然あのようになってしまったのか、という事がはじめて分かりパズルの答がわかったような気がしました。それと表紙や帯がモノトーンというのは多くの命の魂のありかたを弔うような心から出たものなのかなと、ふと、思われました。晒を巻くというのは本当なのかな?
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<br /> 出版社の弱腰と藤原氏の覚悟を思うとき、「東京漂流」をこえたな、と思える。インドの死体を全国にばらまいた、功績は、何事にも目をつぶる時代にあって光をはなっている。