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| 徴税権力―国税庁の研究
(
落合 博実
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朝日新聞社の編集委員として活躍された落合博実氏が、自身が担当してきた国税庁の核心部分を豊富な内部情報や極秘資料をもとに詳細にレポートしている。とかく「朝日」とつくと、言論界ではディスカウントされがちだが、へんな朝日くささは微塵もないので朝日嫌いの人にもお勧めである。
<br /> たとえば、政治家が支持者の面倒を見るためにいかに国税当局に口利きをしてきたか。本書第2章「介入する政治家」では、国税当局側に政治家からの介入記録(整理簿)なるものが作られていることを明かし、小泉純一郎総理も、暴力団と関係のある自身の支持者のために国税当局にプレッシャーをかけていたことが暴露されている。一方で第8章「国税対創価学会」では、日本最大の宗教団体の創価学会になかなか税務調査に乗り出せない弱腰ぶりも描かれている。このほか、いったん国税に目をつけられたら逃れられない「重要事案管理対策者名簿」、取材記者を警戒して作成される内部資料「マスコミ取材連絡せん」など、興味深いエピソード満載だ。
<br /> ただし、年季の入ったベテラン記者なので過去30年の蓄積の厚みを感じることはできるが、いささか取り上げる事例が古い部分がある。
<br /> また、国税当局が熱心に税金を集めたとしても、無駄な公共事業や特殊法人など、そのつかわれ方がめちゃくちゃな日本では、国税の熱意にある種のむなしさも感じる。「永遠なる旅行者」がベストセラーになる21世紀のこの国で、金持ちや能力のあるものほど海外「非居住者」になるだろう。
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