入門書にはわかりやすいかわかりにくいかという評価以上に、もっと重要な部分がある。題材にされている学問的な立場において最も重要なものを、きちんと伝えようとしているかどうかということ。それを伝えようとせんがために難解になり、複雑になってしまうことは避けられないし、著書の評価や質に関わるようなものではない。だからよく言われている悪い入門書の基準は「わかった気にさせてしまう」ということなのだ。入門者はわかりやすい入門書こそを疑うべきである。
<br /> そういう意味で、この入門書は「悪い入門書」に分類せざるをえない。事実、ニーチェの紹介やソシュールの紹介には一部、誤解を招きかねない内容が含まれている。一般的ではない特殊な学派の、廃れきった立場があたかも主流のような紹介もされている。まえがきやあとがきにどれほど保身的な注意書きをしていても、真に受ける人間は少なくないだろう。私たちがとっくにわかっている常識に移し変えるだけの紹介は、学問の存在の意味を失わせてしまう。
<br /> この入門書を読むことでわかったつもりになり、他の著書に自信を持って挑戦できるというのもそれなりに有用なのかもしれない。逆に言うならそれくらいしか望めるものはない。あくまでも品質は保証できない踏み台として、距離を持って読むことを注意したい。
構造主義とは何?という疑問に対する回答を最も分かりやすく説明している本だと思う。
<br />高校の世界史で習う程度の思想家の知識があれば、どんどん読み進めることが出来る。
<br />後半に行くにつれて若干内容が難しくなる為、さすがに寝ながらは学べない。
<br />しかし他の本と比べればかなり分かりやすい解説になっているのは間違いない。
「師を見るな、師が見ているものを見よ」(四十四頁)
<br />なるほどね〜。確かにそうだね。記憶しておこ。「師そのひとや師の技芸」ではなく、「師の視線」、「師の欲望」、「師の感動」に標準を合わせる。ふーむ。「学ぶ」とは、そういうことか〜。納得。
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<br />この本自体は、構造主義について、きっともっとも分かりやすい解説本。
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