ようやくようやく読み終えました!
<br /> 長い時間がかかりましたが、なんともいえぬ達成感が心を満たしています。
<br /> 秋山真之、好古兄弟と正岡子規 明治の男たちの奮闘ぶりが伝わる作品です。
<br /> 一読の価値あり。
初めに断っておくが、本書は小説である。
<br />断っておかねば史学の研究者が明治史を一般向けに解説した学問書と勘違いしそうなほど、本書では歴史に関して掘り下げた考察がなされている。
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<br />現に本書を恰も研究論文であるかのように史学の見地から批判する記事を幾度か目にした。
<br />が、本書は完全なフィクションではないにせよ創作の範囲を出ない。
<br />創作物である本書を学問の立場から批判するのはいささか酷のように思える。
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<br />それはさて置き、本書は主に日露戦争に焦点をあてつつ近代日本の生い立ちを描いた作品だ。
<br />元々台詞の少ない司馬先生の作品のなかでも特に台詞が少なく、考察部分が多くを占める。
<br />従って文章を読むのが苦手な者には少々読みづらい作品ではあるかもしれない。
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<br />しかし明治という、それまでの日本を土台にしつつそれまでと全く違う、本邦が初めて国家として体系を為した時代を、またそこに生きた人々を、迫力を以って語ってくれる。
<br />戦争の記述に関しても戦闘描写が本意ではないと述べつつ、緻密な筆致で表現されていて読んでいて手に取るように状況が想像できる。
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<br />一部の登場人物をあからさまに悪者に仕立てているという指摘もあるにはある。
<br />しかしよしんばそれが事実だとしても、その悪者は悪者で確立した人柄がきちんと描かれており、現実感は損なわれるどころかむしろ増している観がある。
<br />近代日本史について深く考察しつつ、現実的な物語を身震いするほどの迫力で伝えてくる秀作だと思う。
テレビ放映によるものでしょうが、最近よく平積みされています。
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<br />ただ、古くからこの作家の代表作のひとつとされてきた作品で、ブックガイドなどでも薦められています。
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<br />秋山好古、真之兄弟と正岡子規を中心とした物語ですが、伊予の著名人たちももちろんそれに絡んで
<br />出てきます。
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<br />自分の知らない「人と人のつながり」があったりして、楽しめます。
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<br />本巻は、好古30代初め、真之と子規にとっては、20代までの話です。
<br />まだ、序盤でこれからの展開が期待される出だしです。
<br />主人公たちが、この出だしを土台にしてどのように成長(変貌)してゆくのか?
<br />なかなかの出だしです。