他の人の評価が非常に高かったので買って読んでみました。
<br />山本七平という人は、戦中経験後、聖書を研究して、山本書店を開かれたということらしい。
<br />それもあって戦争の話と聖書の話がよくでてくるが、議論が言葉の上に言葉を積み上げていく技巧で成り立っており、非常に空虚な印象を受けた。最初の50ページ程読んで、こんな本を読んでもあまり意味はないなと思った。
<br />ここで山本氏は、「空気」の影響について、要は、周りの人たちから何を言われるか恐ろしいために、自分の信念を貫くことができない状態として手を変え品を変え議論をされているが、別にそんなことは日本だけに限った話でもなく、要は勇気があるかどうかの問題だけである。
<br />ほかの本を読んでいないからわからないけれども、この人は一見博識のある学者のように見えるが、あまり中身はないのではないだろうか?
<br />本物の議論というのはもっとどっしりと真実に組み付いたところから組み立てられるものだ。
この本が出版された時には、まだ、人生経験薄く、正直良く分からない部分があった。
<br /> 確かに、山本さんの言う「空気」と言う得体の知れないその場の状況で〜感覚で〜物事が決まっていくと言うことは、なんとなく分かっていたつもりであるが、実社会では、これがものの見事に幅を利かせていることが分かる。
<br /> 同様に「水」である。
<br /> 「空気」で決まりかけたことに対する異論を「水を差す」というが、これも、議論とか、論理の末の話でなく、その場の状況による。子のことも実社会でしばしば起こる。
<br /> 「空気」と「水」と言う人類に共通して不可欠な存在を持って、日本人の精神構造を捉えていく論証は、鋭い。遅まきながら、分かった気がして来た。これも「空気」だなどと「水をささないで」下さい。
山本七平という評論家は、地味な印象を与える。例えば、同じ戦中派である作家「司馬遼太郎」や批評家「小林秀雄」と比してみれば、そのことは一目瞭然であろう。
<br /> しかし、山本の評論家としての力量は、決してこれらの人々に劣るものではない。
<br /> 本書『「空気」の研究』には、その山本の力量がいかんなく発揮されている。日本社会の特質を「空気」という一言に集約させたのは、さすがである。日本社会のあらゆる場面で、絶大な力を振るっているのが、言明できない「空気」という妖怪である。
<br /> 山本のこの指摘は、決して過去の日本社会にのみ当て嵌まるものではない。現在の日本社会においても、この「空気」支配は存在し続けている。「構造改革」という錦の御旗の下で、小泉人気を支えているのが、「空気」によるものだとすれば、その結果は悲惨なものとなるかもしれない。
<br /> 本書を一読することが、現在の日本社会への「水を差す」一助となるであろう。
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