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約束された場所で―underground 2 ( 村上 春樹 )

 サリン事件を「起した側」から見つめた本.教祖の狂気により暴走した宗教組織オウム真理教.そこにいた人たちは事件後何を思ったのか?そのことが客観的に書かれている. <br /> アンダーグラウンドの手法が継承されており,著者はインタビュアー以上の役割は果たしていない,また語られた事柄に何ら恣意的なものは見当たらない.これを読み彼らを評価するのは読者自身だ.とはいえ,このままでは読み物としてはあまりに乱暴.それを補うべく対談及びあとがきという形で著者の一つの見解が示されてある. <br /> 残念だったのは2点.インタビュイーの数が少なめだったことと,事件について直接かかわった人達のインタビューではないことだ.困難なのはわかる.だがここまで書いたのなら「実行犯達の意見」というのも知りたいと思う.

村上春樹によるオウム信者(現役だったり元信者だったり)へのインタビュー集。 <br /> <br />オウム事件の当時には決して取り上げられることもなく、一方的な加害者として断罪されてきたオウム真理教の信者達。 <br />それぞれの信者達の声を拾い、それまでの人生の歩み、オウムに入信するまでの経緯、オウムや麻原への思い、サリン事件などについての、十人十色の答えがこの書には詰まっている。 <br /> <br />とにかくそれぞれの信者達の言葉が重く、ずしりと心に響く。 <br />オウムに入信するきっかけはほんの些細さことであり、ごくごく普通の人達がオウムを構成しているということは、自分にとって新たな発見であり、新鮮な事実であった。 <br /> <br />このような惨劇を二度と繰り返さないためにも、この書を手に取り、信者一人一人の証言に耳を傾け、オウム事件の総括とすることが、10年前と同様に混迷を極める現在に求められているのかもしれない。 <br /> <br />村上春樹ファンだけでなく、一人でも多くの人に推薦したい一冊です。

「オウムである」と聞いて耳を塞いでしまってはいけない。 <br />たしかにテロ活動をした犯罪者−オウムの幹部−は糾弾されなければならない。だが、一般の信者たちはどうなのだろうか? <br />彼らは単に騙された愚かな人、まともな感覚をもたない人なのだろうか? <br />村上春樹のインタビューを見ていくと、いわゆる一般人とオウム信者との境界はそれほどはっきりしたものではないと感じる。 <br /> <br />オウムの側は今の社会をどう見ており、どう感じているのか。 <br />なぜ全財産をなげうってサティアンにこもってしまったのか。 <br />真摯にに耳を傾けなければいけない。 <br />事件を特異な人たちの特異な行動だったと片付けてしまったら、また同じような事件にが起こる可能性は十分にある。それどころか、ひょっとすると、事件を起こす側に立ってしまうかもしれない。 <br />

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