なぜ、あの時期に長州藩が激動の運命をたどったのか?
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<br />吉田松陰の松下村塾を抜きにしては語れない・・・・
<br />高杉晋作をはじめとする松下村塾系の人々が大活躍をし、長州藩に激動をもたらす。
<br />それだけ影響力の強い吉田松陰の生き様や、高杉晋作の生き様が生き生きと描かれており、
<br />この本がきっかけで幕末の長州藩に対する興味と理解が深まったと言っても過言ではない。
<br />登場人物も魅力的であり、とにかく飽きることなく一気に4冊とも読めてしまう。
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<br />読み終えたころには、すっかり高杉晋作のファンになっているかも・・・・・
山口県を旅すると,幕末から維新にかけて活躍した人物の中で
<br />地元の一番人気を誇るのは,圧倒的に高杉晋作であると分かる。
<br />萩に行けば,
<br />木戸孝允邸や伊藤博文邸よりも高杉邸に人が集まっているのを目にし,
<br />下関の地元観光情報誌を見れば,
<br />高杉晋作ゆかりの地あれこれがエピソードと共に紹介されている。
<br />「世に棲む日日」シリーズは,思想家吉田松陰の少年時代から始まり,
<br />その門人高杉晋作がわずか27歳で肺結核に倒れ,この世を去るまでが描かれている。
<br />特に後半,高杉が,幕末の激動の中,時代を先読みし,
<br />戦略を尽くして幕府軍と戦い,日本の歴史を維新へ向けて大きく動かしていくさまは非常に興味深い。
<br />彼は革命家であるが,諸国の革命家と異なるところは,
<br />自らの権威に興味がなく,また,維新直前に亡くなったこともあって,
<br />権威と縁がなかったことである。
<br />しかし,そんな彼の生き様が地元の人気を不動のものにしているのだろうな,とこのシリーズを読んだ今思うのである。
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革命の坩堝ともいうべき幕末長州藩を吉田松陰という思想家と、高杉晋作という革命家の人生を通して描く。
<br /> 司馬の他の作品同様、一人一人の人物像をくっきりと明確に描いているのが特徴である。人物像を先に地の文ではっきりと明示し、エピソードでそれを具体的に裏付けてゆくという手法である。
<br /> 松蔭は底抜けに楽天的で人を疑わない善意の人として描かれ、晋作は破天荒な、一種竜馬に通ずるような快男児として描かれる。
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<br /> 英国留学から急遽帰国して大きな役割を果たす伊藤、井上も生き生きと描かれている。白石正三郎やおうのなど、脇役もしっかり描かれている。
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<br /> 複雑な幕末の歴史はともすると京都や江戸を中心に描かれることが多いが、ここでは長州藩という一点に焦点を絞り込み、その動乱を通じていかに明治維新という革命が準備されていったかを明らかにする。
<br /> 特に後半の高杉の活躍は面白い。