御殿山の英国公使館を焼き討ちなど、江戸幕府のつきあげを次々としたあと、出家して、故郷に戻った高杉晋作。<br>彼が閉じこもっている間に長州藩が大変動していきます。<br>長州藩は幕府からの「5月10日から攘夷をする」という回答をそのまま実行にうつし、馬関海峡で攘夷戦争をはじめ、<br>蛤御門の変、四カ国連合艦隊襲来そして、敗戦。<p>江戸幕府とは別に長州藩だけが歴史の大転換を迎えていきます。<p>特に印象深い場面は長州藩と四カ国連合との交渉の場面でした<p>舞台は壇ノ浦<br>長州藩は単独で四カ国との談判をするために高杉晋作を交渉が交渉にあたります。<br>その通訳をするのは伊藤俊輔<br>たちあいに英国公使館通訳官アーネスト・サトー<p>そうそうたる登場人物たちが、日本の将来を変える交渉を始め読み応えがあります。
井上聞多(馨)のことから、この巻は始まる。いつもながら、司馬作品、出だしが素晴らしい。最初の数行で、読者は江戸時代幕末の渦中に放り込まれてしまう。そこから先は、インディー・ジョーンズさながらの冒険活劇+的確な歴史分析+人間論・組織論+人の運命を描写しつくす小説を読む醍醐の味。<p>高校生の時に読んで、30数年後にまた読んだ。吉田松陰のことは非常に尊敬しているが、高杉晋作が気になっていたので、この第三巻から。10代に読んだ時は、冒険活劇としてわくわくして読み進んだ。幕末の志士たちの行動の鮮やかさと、信じられないほどの劇的展開に心奪われた。でも今回再読してみると、志士たちの主張が攘夷論から180度転回して開国論になったり、藩内が勤王派から一転して佐幕派になったり、長州藩が京都で勢力を誇ったと思ったらいきなり幕府軍に攻め込まれたりする、そういうとんでもなくめまぐるしく激しい「変化」が、ちゃんと論理的に書込まれていたことに驚いた。若き日に一度読み、中年になって再読する。そういう楽しみも味わえる小説だ。
幕末の思想的原点ともいうべき吉田松蔭のことが知りたくてこの本を読んだ。<p>松蔭はアツイ!!<br>幕府の鎖国政策により海外密航は死罪という時代に、海外を自分の目で見るために死を賭して黒船に乗り込もうとした松蔭。<br>黒船の船長はこの青年の好奇心と勇気に感動した・・・<p>前半は松蔭、後半は高杉晋作が主人公だが、個人的には松蔭が好きだ。<p>松蔭が獄中、同じ牢の囚人を悉く改心させ、雰囲気を一変させたという逸話にも驚いた。