いよいよ最終巻。
<br />関ヶ原の合戦直後から、一豊の死去までを描かれています。
<br />土佐に入国してから、土佐郷士との争いは血なまぐさく読んでいて気分の良いものではありません。千代にとっては、一豊と築いてきた山内家の皮肉な完成を見ることになりますが、それは読んでのお楽しみということで。
NHK大河ドラマは何年ぶりかで毎週欠かさず見ています。
<br />戦国物が好きで録画して時間があれば何回も見直しています。
<br />その原作本として読みたくなり全巻をテレビの場面を思い出しながら2回読み終わりました。
<br /> 千代と一豊との夫婦愛と夫を出世させるサクセスストーリーですが、夫婦となってから凡庸な夫が土佐24万石の国主に成り上がるまでで、小説はト書的な文章もあるので千代の心の動きがよく判ります。
<br /> テレビはその点を演技なりセリフで表現しなければならず消化不足な点も有りますので、小説は良く判りテレビを見る上で助かるし楽しませてくれます。
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この「功名が辻」の魅力は、戦国時代を舞台にしているのに血なまぐささや荒々しさがまったく感じられないところ。戦時の中の平時を描き出しているようなところがいいですね。大河ドラマでもそんな雰囲気を醸し出していますが、信長や秀吉の原作に出てこないエピソード(たとえば延暦寺焼き討ち)が多すぎて見るのをやめてしまいました。一豊と千代の生き様を追いかけているだけでも十分ドラマとして成立するはずなのですが。
<br /> しかし、この完結の巻で忠義だけがとりえの一豊が、姑息で残忍な領主に変貌してしまいます。そのときの千代の悲しみ、憤りにはすごく共感しました。「一国一城の主」とは聞こえがいいけど、身の丈に合わない出世はしないほうが身のためかな。ところで、本当にあの虐殺事件はドラマでは放送されないのでしょうか。山内家の土佐統治においてとても重要な事件なのですが。だとしたらドラマ版の「功名が辻」はインチキです。作品のよさを知るなら、本を読むことをお勧めします。