夢を見る人が少なくなった気がする。「自分はこんなもん」と変に妥協する子供たちが増えた気がする。
<br />ヨットで世界一周(しかも一人で)なんて途方も無い夢を抱き、その夢を叶えるために必死に行動し、最後には「死」すら覚悟した176日の軌跡であるが、
<br />「白石康次郎」と言う人が自分たちと変わらない普通の人でありながら、普通の人ではないことが読み取れる1冊である。
<br />誰もが恥ずかしくて大きな夢を語ることが出来ない世の中になってしまったが、
<br />こうして「熱い思い」を抱いて、自然と周りの人が手伝わずにはいられなくなるのはその人の持っているエネルギーの差なのだろうか?
<br />閉塞感のある現代日本においては貴重な存在であり、これからも益々活躍して
<br />様々な人の良い目標となって欲しい。
<br />何かを感じるかどうかはその人次第であるが、だからこそいろんな人に1度は読んで欲しい本である。
著者は現在活躍中の、第一級の冒険家である。同世代の冒険家にはテレビでの露出も多い野口健氏がいる。著者は海洋冒険家としては国内第一級の人物であり、また、なによりも若い。今後も多くの事を成し遂げてくれるに違いない人物である。彼の葛藤や成長を疑似体験しつつ、夢を見るのもまた楽しいものである。
山田玲司さんの『絶望に効くクスリ』の第6夜で、読んで伝記を購入した。南氷洋で10mの高波(ビル三階分の高さを上下する)を耐え抜き、26歳の時、世界最年少で単独世界一周を成し遂げた白石康次郎さんの伝記です。日本ヨット界の伝説、多田雄幸さんの弟子です。近代そして戦後になってからの冒険家というと、なんと言っても、植村直己、多田雄幸、そして3代目の白石康二郎さんが思い浮かびますが、みんなお金に苦しみいろんなものと戦いながら、生活に疲れながらもボロボロになっても冒険に挑戦し続けた人たちです。まだ30代にもならない白石さんからして、べつに金もコネも実績もなく、高校生の時に電話帳で調べてタクシードライバーをやっていた多田さんに、無理やり会いに行ったのが始まりです。欧米では、ヴァージンの会長の気球による世界一周ように<br>冒険やチャレンジスピリッツには、高い名誉と価値が社会的に置かれます。それに比べると、日本社会というのは随分保守的で余裕のない世界なのだなぁ、と思ってしまう。ただし、その中でも生まれる冒険家たちは、逆説的に言うと本物であろうけど。