あの有名なジブリ映画の原作漫画であり、微妙に別物語(映画は1巻をアレンジしたもの)。
<br />ストーリー展開、スケール、奥深さ、どれをとっても宮崎駿のどの作品にも勝っている。
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<br />1000年後の荒廃した世界で痛々しいほど純粋に、鮮烈に生きるナウシカの流浪の旅。
<br />文明がある限り存在する自然との相克を、現在の自然<文明という力関係を自然>文明としてとらえなおし、希望の道を見いだそうとする。この作品を読んだ人は必ず映画より感動するはず。
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<br />そして予想をはるかに超える衝撃のラスト…、ジブリ好きには絶対に読んでもらいたい作品です。
文明崩壊後の汚染された世界において、二大勢力の衝突を横に、一人の貴族の少女が、さらなる汚染や崩壊を止めようと動きながら、世界の謎に迫っていく。優れた物語進行。異界の構想、戦場の現実、上空での立ち合い等々卓越した描写。
あまりにも有名で数多くのレビューがあるので、正統派でない見方で意見してみます。宮崎駿の言いたい事の本質は環境問題ですが物語りをなす上での重要な要素である人間が全く書かれていない。主人公ナウシカは全くの異質の存在であり周りの人間との距離が物語りが進むにつれてどんどん開いていく気がします。最後の方は性を超越している感じにまでなります。宮崎駿は神話を書いていて、ナウシカは正に天使といった感じです。叙事詩を書いているという見方ではこれでいいのですが、個人的には最初の方の人間味ある姫君のままの主人公での話も見たかった気がします。全ての物への友愛は書ききれていますが、最初の方に多く出てくる自身の自己犠牲(映画版はまさにこのナウシカ)、この二つは似て異なる物ですので、この後者の方も突き詰めて、そして性別を超越しない女としての部分も書いて欲しかったと思います。元々子供向けでないのに、性的要素やセックスを全く書いていない点は真の人間を描いておらず海外では評価されないと思います。とかなりの異論を書きましたが、正論も私は持ち合わせていますのであくまで別の見方の方を書いてみました。