平安末期を舞台にしたファンタジーです。
<br />日本史が苦手なので、はじめは読みづらく感じました。
<br />でも、あっという間に引き込まれて、そんなことは気にならなくなりました。
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<br />主人公の3人、草十郎と糸世、鳥彦王がすごく魅力的です。
<br />糸世の舞と草十郎の笛のシーンはとてもきれいです。絵が浮かんでくる感じでした。
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<br />日本史とか古典とかが好きな人にお勧めです☆
何歳になったのかは置いときまして(笑)、久しぶりに「物語」で涙しました。「作り話」で泣くことは久しく無かったのですが…。つい涙したということは、知らず知らずに物語に頭の先まで心地よく浸かっていたからなんでしょうね。荻原さんの様々な作品は、単に話の筋をとんとんと語っていくのではなく、一人一人が魅力的で、心がつい震えるような場面が描写されているので、一度読んで話がわかればいいやーといった類いではなく、「見たら即買い。しかも何度も読む。一度本を開いてしまうと最後のページまで止められない」ものになっていますが、その中でもつい大人の自分が泣かされたこの作品は、更に舌を巻きました。
びっくりがいっぱい!
<br />まずこれ、児童文学だったんですね。あまりの分厚さと価格に尻込み
<br />してました。けれども、子供向け(?)の為、小難しそうな歴史の絡
<br />んだ導入部分も、意外とすんなり読めました。主人公は17歳の少年、
<br />草十郎。生い立ちやその気性から、人付き合いの苦手な彼が、戦や人の
<br />欲望に巻き込まれ、次第に変わってゆく。彼の吹く笛の音は、人には理
<br />解しづらい。けれども、鳥や動物達は、その響きに誘われ、捕食も逃亡
<br />も忘れてしまう。そんな彼が出会うのは、鳥の王となる烏(からす)の
<br />鳥彦王と、魂鎮めの舞を舞う糸世(いとせ)。迷い、絶望し、涙を流し
<br />それでも大切なものを取り戻す為、奔走する草十郎と鳥彦王の姿が、と
<br />ても生き生きと描かれています。
<br />この作者の代表作品である、勾玉三部作はまだ読んでいませんが、この
<br />話は、独立した別のものなので、これだけでも楽しく読めると思います。
<br />子供、だけでなく、大人の人にも読んでもらいたい!!お勧めです。
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