すごい作品が出てきました!絵も、文もめちゃくちゃいいです。元警官で、免罪で刑務所に入ってきたのユウト28歳と同室者ディック29歳の話。囚人がけっこうな人数でてきますが、みんなキャラがちゃんとしています。囚人同士の確執や争い、やるかやられるか、ハラハラドキドキで緊張しっぱなしでした。設定もしっかりしていて、とにかく読ませてくれます。読み始めた途端、引き込まれて、読後は大満足でした。続きもあると言うので今から楽しみです。
<br />評価の高い「エス」以上の、ものすごい作品だと思います。
いままで読んできた英田サキさんの作品は、巧いものの表面をさらりとなでる器用さで、流し読みするには丁度よかったものの、いつもどこか物足りなかった。また、資料を駆使するとその部分がまるで棒読みのようになってしまい、この作家はなにを書きたいのだろうかと、マルチ作家となるには、その器用さが不器用だった。
<br />しかし、この本でようやく自分がなにを書きたいのか掴みかけたのではないだろうか。物語に語られぬ部分の厚みが増し、甘い人形劇としてのBLではなく、汚いが生身をともなった人間ドラマとしてのJUNEとなったように思う。破綻はあっても、それを作者の勢いが埋めているように感じるのは、私だけだろうか。
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<br />夢を見たい読者には、裏切りになるだろう。だが、年季の入ったいわゆるJUNE時代からの読み手には、歓迎される作品に違いない。
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<br />続編を楽しみにしています。
小説としての面白さが際だつ作品!とにかく読み応えありで大満足です。
<br />主役二人がゲイでなかったら、社会派小説のジャンルでそのまま通用しそうなくらい(!)
<br />舞台設定がしっかりしています。
<br />アメリカのマジョリティーはあと数年で白人からヒスパニックに移行するという過渡期の
<br />軋轢が、狭い刑務所のなかにそのまま凝縮されて表れているのがすごい!
<br />人種差別に疎く、平和呆けしている日本人の横っ面を一発張り飛ばしてくれるような一冊に
<br />心から拍手を送りたいです!英田さん、ありがとう!!
<br />高階佑さんのイラストもとても美しかったです。
<br />基本的に、小説は話さえ面白ければイラストはなんでもいいタイプなのですが、
<br />東洋人の美しさを持つユウトと、北欧人の血がまじっているらしいディックの外人っぽい
<br />美しさが見事なくらい描き分けられていて、イラストページをめくるたびにうっとりします。
<br />刑務所をでたユウトたちの次の舞台がどこになるのか、いまから興味津々です。