富江と並んで人気の双一シリーズの新編も収録した最新短編集。
<br />双一シリーズの2本は今まで同様高いクオリティ。わけのわからない呪いが広まってゆく
<br />過程で不気味さやくだらなさを楽しめます。大人になった双一や路菜、そしてあの
<br />ファッションモデルの姿も見られてお得です。
<br />しかし他の短編は、残念ながら以前ほどの冴えは感じられませんでした。
<br />伊藤潤二の持ち味である、ひたひたと迫り来て主人公たちを巻き込む不条理。
<br />それは変わらないのだけど、何か無理に生み出した感じが少しします。
<br />「地獄星レミナ」と同じ傾向が見られます。
<br />あくまで個人の感覚の問題だけど、以前の作品は心の中から自然と出てきた恐怖
<br />を垣間見るような作品が多かった。歳を重ね、何年もこうした仕事を続けていると、
<br />原初の恐怖を嗅ぎ取る感覚は擦り減るかもしれません。しかしやはり素晴らしい
<br />才能を持った方ですし、これからも期待したいです。
<br />絵の方は磨きがかかり、女性キャラの美しさはますます洗練されていました。
<br />
作者の近作を見ていると
<br />内容が薄くなってきていると
<br />感じておりましたが
<br />心配御無用。
<br />
<br />今作では作者独特の不可思議な世界が復活しています。
<br />
<br />作者曰く「体力低下の為続刊が遅れている」
<br />とのことですが、
<br />その分スケールアップしているので
<br />十分楽しめます。
<br />
<br />次回作が楽しみです。
ちょっとお値段が高めですが、待ちに待った新刊です。
<br />全7話中、2話は伊藤潤二作品でお馴染みの「双一」が登場します。
<br />怖くて残酷なんだけれど、どこか憎めない彼のキャラクターは今も健在です。
<br />表題作の「潰談」はスケールも大きく、一番おもしろかったです。
<br />謎の恐怖に追い詰められ逃げ惑うというパターンの
<br />ホラー漫画を描かせたら、伊藤潤二の右に出る者はいないかもしれません。
<br />ただ他の短編は以前の作品ほどゾッとしないというか、
<br />おどろおどろしさが少し物足りなく感じました。