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無我と無私 禅の考え方に学ぶ ( オイゲン・ヘリゲル 藤原 正彦 藤原 美子 )

難しそうな題だったので、手に取るのをためらったのですが、パラパラと開いてみたら <br />とても読みやすいのでつい買ってしまいました。 <br /> <br />禅についていくつか本を読みましたが、この本ほど分かりやすいものは今までになかった <br />ような気がします。阿波研造さんの魅力も伝わってきました。 <br /> <br />オイゲン・ヘリゲルの本は岩波文庫の日本の弓術で一度読もうとしたことがありましたが、 <br />分かりにくいのでやめてしまいました。本書は分かりやすかったのでありがたかったです。 <br /> <br />本書はお勧めしたい一冊です。

 禅の考え方とサブタイトルにあったので、日頃から禅に興味を持っている父にこの本を送ったら、しばらくして、「こういう日本人が日本からいなくなったんだよ」と電話があった。 <br /> いま、日本には、自分が日本人であることがいやになるようなことが多いけれど、この本を読んで日本人に生まれてよかったとしみじみ思えました。 <br /> この本に描かれている阿波研造という弓道家が実際に弓を射ている写真を数葉見ましたが、どこにも力が入っていないように見えて美しいもので、生き方、考え方もカッコいいです。弟子を破門するのに、背を向けて座布団に座るのがなんともおかしみがある人柄を表しているようです。 <br /> こういう日本人こそが世界に通用する国際人になりうるんでしょうし、こういう大人がいっぱいいたら、いじめもなくなるんじゃないかな。 <br /> ここに描かれている考え方こそ、いまの世界にもっとも必要な考え方で、「安倍さん!これで美しい国を!」と言いたいし、「ブッシュさん! 金日成さん! この考え方で世界を考えてみてよ」と言いたい。 <br /> 久しぶりに背筋がゾクゾクするような感動で読み終わりました。 <br /> 阿波研造さんに会ってみたい。

<br /> あとがきを最初に読みましたが,訳者が原書の由来を全く勘違いしていることがわかり,本文を読む前に興ざめしました.訳者は,著者のヘリゲルやその指導者であった弓道家阿波研造のことをよく知らないで訳したということがあとがきにあらわれているように思います.本文の訳は,読みやすくなっているとは感じました.ドイツ語の原書から英語を経由した重訳の影響もあるのか,その辺はよくわかりません. <br /> <br /> まず,ヘリゲルの講演は,1939年に「禅と弓」という演題で行われたと書いてありますが,正しくは1936年に行われており,演題も異なり「武士道の弓術」あるいは「騎士的な弓術」とでも訳されるようなものでした. <br /> <br /> 訳者は,この1936年の講演そのものが本書の原書だと誤解しているようです.本当の原書(ドイツ語版)は,この講演の内容を全面的に加筆訂正し,1948年になってから別に出版されたものです.その題名が『弓と禅』です. <br /> <br /> また,これまでに日本で出版された『弓と禅』(福村出版,1981年)が『日本の弓術』(岩波文庫,1941年)の「改訂版」であるかのように書いてありますが,これも間違いです.原書が違います.前者は1948年刊行の書籍,後者は1936年の講演をそれぞれ訳したものです. <br /> <br /> ヘリゲルが帰国して間もなく阿波研造が50歳で亡くなったことになる没年が示してありますが,本当の阿波研造の享年は60です.阿波研造を「品格ある日本人」と評価するのならば,せめて基本的なデータは間違ってほしくありませんでした. <br /> 

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