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| OGTー2111 ブラームス交響曲第1番 ハ短調作品68
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音楽之友社
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ブラームスという人はおそろしく前衛的な感性の持ち主である。それは彼の諸作品をお聞きいただければわかることであるが、伝統的な形式を踏襲しつつもその枠の中で極めて前衛的な振る舞いを行っている。それはこの曲の第四楽章の中間部、オーケストラ全体が激しくぶつかり合うところでのアクセントの激しい入れ替わりにも見て取れる。いわゆるポリリズムの先駈けというべきものであり、本来ならば、単なる四拍子ではなく、パート別にはげしく拍子記号をいれかえてしかるべきものである。かれはそのような、ある枠から逸脱しそうな「なにか」を必死に押さえようとしている。そうした自己矛盾との闘いの結果があらゆる作品に表現されており、それが世紀をこえて愛されている所以であろう。耳で確認するのは勿論であるが譜面で確認するならば、なお実感できる。是非ご覧ください。
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