13人の転落人生の紹介がメインで、
<br />その他、ホームレスに関する簡単な資料4つと、
<br />ホームレス入門と題した1週間密着取材のレポートから成る。
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<br />個人的に最も興味深く読んだのは「おまけ」のホームレス入門で、
<br />メインの転落人生については半分も読まないうちに飽きてしまった。
<br />もちろん、厳しい人生で、自分がそうなったらという怖さは感じたが、
<br />転落に至る過程や事情は様々、ある意味特殊であり、一々共感出来ないし、
<br />何より違和感を覚えたのはまるで著者が話しているかのような語り口である。
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<br />本文は、インタヴューをそのまま活字に起こしたものではなくて、
<br />プロフィール紹介の後は13人それぞれの独白(一人称)となっている。
<br />ところが、共通する不自然な語尾や、昔の細かいことまで淀みなくしゃべる等、
<br />著者が取材を元に後で編集したにしてもちょっと首を傾げざるを得ない形式だった。
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<br />もっと生々しい実感を求めたが、画一的な文体の中に埋没してしまったようだ。
この手のものはビジネス系雑誌でも特集されたりするので、過去にも目にしたことがある。
<br />厳しいことを言うようだが、個人的には彼らに同情はできない。たとえば牛丼食べたりチェーンの居酒屋で飲むことがそんなにわびしいことなのか?私はそれで十分に満足だ。それでは満足できない人々がこの本には多く登場していたような気がする。
<br /> はっきり言って自業自得である。「明日はわが身か」と思わされる節もなくはないが、一体彼らは何を求めて生きてきたのか。それを考えると、肩書きはりっぱでも非常に希薄な半生を歩んできたのではないだろうか、と思わされる。
<br /> 本書の何人かの人は真剣に社会復帰を目指しているようで、それはまだいい。問題は何かをあきらめてしまっている人たちだ。自立支援の難しさもここにあるように思う。そんな彼らに自信と希望を与え、独り立ちさせるには何をしたらよいのだろうか。そのことが非常に気がかりだった。
<br /> あまり感心できる内容ではなかったが、この取材を成し遂げた筆者に敬意を表して星5つ。
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この本を呼んで一番衝撃だったのは、体が健康なうちは無一文になっても生活保護は支給されないということがわかった事だ。
<br />したがって、失業して仕事が見つからない期間が続くと、日本の制度的にホームレスにならざるをえない。
<br />そして、ホームレスになると選挙権が与えられない(投票用紙は住所がないと来ない)ことはもちろん、生存権も脅かされる。
<br />最近になって、ホームレスを救済する福祉施設は誕生したが、東京と大阪にしかなく、存在を一般の人はほとんどしらない。したがって、ホームレスになってしまう人も当然知らない。また施設の規則は刑務所のように厳しい。また、2ヶ月(事情があればさらに延長2ヶ月可能)の期限付きだ。
<br />路上で生活するうちにやがて、精神や身体を害し、死の危険にさらされる。
<br />私たちは文明社会に住んでいると思っていたが、実は生きるか死ぬかの崖っぷちがすぐそばにあり、文字通りの意味で生きのびるためには必死でがんばらなくてはいけないのだ。