「被差別部落の人に対する冤罪事件」という認識しかなかったので、本書を読んで驚いた。
<br />これほど不気味で複雑な事件だったとは知らなかった。
<br />とくに五月三日の午前零時十分の出来事は、不可解というより不自然だ。
<br />この状況で、40人近い捜査員がいるのになぜ捕まえられなかったのだろう。
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<br />また、一連の不審死が本当に「連続殺人」だとしたら、犯人は単独犯ではありえないのではないか?
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本書は事件の経過・経緯が割と詳しく掲載されている。
<br />これらが全て「正確なもの」であるならば、警察の怠慢は断罪されるべきであると思う。
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<br />公判に於いて、警察(検察側)が警察(検察側)にとって不利な証拠を提示しないという点が恐ろしい。
<br />「本当に法治国家の裁判か?」
<br />本書の記述が正しければ、これは間違いなく「冤罪」であると感じた。
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<br />事件発生から40年余の年月が経過し、関係者には既に亡くなっている方も多い。
<br />狭山事件には謎も多く、「真犯人」の逮捕は困難であるかもしれない。
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<br />だが、今後のためにも・・・現容疑者の嫌疑だけでもハッキリ決着をつけてもらいたいと強く思いました。
<br />冤罪が証明された暁には・・・容疑者に対する補償のみならず、「不祥事」の再発防止に尽力するよう切に願うばかりです。
私は広島県で育ちましたので、狭山事件については学校で嫌というほど教わりました。石川青年の上告が棄却された翌日は、夏休みだというのにいきなり登校日になって全校集会。鴨居から見つかった万年筆、強引な自白など、警察のフレームアップとかを熱烈に教え込まれました。
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<br />しかし、事件の全貌は全然知らされていなかった。解放同盟の教育は、「石川青年の冤罪を晴らせ」であって、「真犯人は別にいる」ではなかったのです。
<br />正直、この本を読むまで、こんなに怖い事件だったとは知らなかった。すみません。
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<br />本書は、怖い本です。読んでると背筋がぞくぞくします。本書が怖いのは、この事件がまだ終わっていない、進行中の事件だという視点で書かれているからです。その通りだと思います。おそらく今も真犯人は存在しているのです。
<br />本書の続きが読みたければ、ネットにいくらでも資料があります。本書は簡明なものであり、はしょって書かれた部分もあります。しかし、重要なのは「進行中の事件だ」というスタンスです。
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<br />私は志がそんなに高くなくて、ただ単に怖い本が読みたかっただけですが、十二分に怖がらせてもらいました。怖がりたい方、おすすめです。ほんと、怖いですよ。