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ウエスト・ウイング ( エドワード ゴーリー Edward Gorey )

これは、怖い絵本。 <br />人間は、意味のわからないものを恐れ、また畏れます。 <br />西棟には、我々の知らない様々なものが潜んでいるようですが、一切のインフォメーションはありません。 <br />自分の足で確かめてみるしかないようです。 <br />西棟では、特にもの凄い危険はないように思われます。でもそれも不確かです。 <br />新耳袋が日本で流行ったのは、恐怖の真理、「意味がわからない・シュール」を突いたからであったように思います。 <br />これはまさにその手法。ものの影が、よく分からない存在が、ドア自体が、建物自体が、我々に謎を提示してくるのですが、 <br />我々にそれを解く方法は一切ないようにも思われます。 <br />何はともあれ、西棟に入らないことには何も始まらないようです。

この本を読むと、本当にもやっとします。でも嫌な感じじゃなくて、不思議なもやもや。妖しい塔なのに人もいて、水が満ちている部屋や人が倒れている部屋。なんなんだと思いながらも目が離せない。そんな本です。

私のお気に入りは2Pめ。<br>比較的まともそうに見えるこの人。<br>でも彼女おかしいんだよ。<br>早足のような前傾姿勢、でも手もスカートの襞も静止してるんだ。<br>まるでドアの境から忽然と出現し、廊下の暗がりへすべっていくように見えるんだ! <br>私にはいっそ12Pめのおっさんの方がまともに見える!<br>いやしかしおっさんは…何を見てるんだ? <p>この手すり…落ちるのを防いでいるのか。<br>でも向こう側は壁じゃないのか? <br>必要ないはずの手すり、必要なはずのおっさんの…? <br>ん? でも足元は…。<p>どのページも見れば見るほど味が出る。<br>微妙なニュアンスが想像力を掻き立てる。<p>ゴーリーの思う壺に心地よくはまりました!

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