世の中に,最適化手法と言われている物は沢山ある.大学では,特に最適化という名前が付いた講義があれば別だが,多くの人は解析学の中でラグランジュの未定乗数法やニュートン法などのキーワードで断片的に学んでいるのが実情ではなかろうか.
<br /> 本書は,これら数多の最適化手法を適用する場面に応じて整理して,かつ丁寧に(繰り返しが多くて,くどいという指摘もあるかもしれないが)解説している.かなり数学的に高度な問題を取り扱っている部分もあるが,そこは読み飛ばしても何ら差し支えない.同著者の「これなら分かる応用数学教室」も切れ味の良い本であったが,本書もその遺伝子を受け継いでいる.
これまでにも最適化手法に関する書籍を見てきましたが、どれも沢山の手法の最終的な結果だけが示されているだけでした。
<br />このため、各手法の考え方やどのような特性があるのか、理解できませんでした。
<br />しかし本書では、(1)理解しやすい問題から解説をする、(2)それと対比する形で複雑な問題へと発展していく構成になっていました。
<br />このため、理解がスムーズに行えました。
<br />また、各手法の背景にある考え方についても説明があるため、どのようなときにどの手法を使えばよいのか、自然に理解できるようになりました。