この本はすばらしいと思います。その最大の理由は、品詞分解を徹底的に行っているからではなく、品詞分解の目的が「品詞と働きの間にある密接な関係を理解することにほかならない」(p.282)、と明言して行っているからです。
<br /> 品詞の働きとは、語の意味を決める、語と語のつなぎ方を決める、ことを意味します(p.281)。
<br /> 解説の仕方も、語と語の関係がわかりやすいように、記述されています。
<br /> また、語の意味と働きと品詞が相互に規制し合っていることも明言しているので(p.286)、品詞に還元さえすれば文が理解できる、と主張しているわけではないのです。この本は品詞還元主義ではないということです。
<br /> 使用上の注意として、この本を使って勉強するときに大事なことは、(当然ではありますが)、単語の品詞を厳密に覚えることが最終目的なのではなく、それぞれの単語が文の中でどのような働きをもって機能しているのか、そのことを理解するために、品詞を覚えるのだということです(p.10より解釈)。
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<br /> しかし、徹底的に考えてみる(p.84)という姿勢をもって、説明し尽くそうとする分、解説は複雑になり内容は難しいとは思います。著者自身認めているように(p.292)、読み手を選ぶということで、1点減点。自分が高校生の時には、このレベルの本は読めなかったでしょう。
本書は特に「準動詞」「従属節」の説明が明快である。巻末には8割の英文が本書により読めると謳われている。
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<br />しかし倒置や省略、比較などの説明が欠陥しているので、リー教をやったからと言って全基本事項を網羅したと満足してはいけない。
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<br />本書が終われば本来なら続編のエッセンスUVに移行するのがよいだろうが、あいにく2冊に3万円をかけるほどの金銭感覚は持ち合わせていないので、市販の参考書を駆使し英文構造の徹底理解を図ることを試みた。
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<br />「リー教終わったから今から解釈・長文は何をやろうかな、エッセンスは高いから手が出せないよな」などと考えている方がいましたら以下のプランを勧めたいと思います。
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<br />研究社「リーディング教本」
<br />→駿台文庫「必修英語構文」
<br />→中継出版「佐々木和彦の英語長文が面白いほどできる本」
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<br />駿台の「必修英語構文」で網羅しきれていない部分も抑えると同時にリー教で培った知識を使い和訳の演習にもなる。1ヶ月ほどで仕上げてしまえばその後は中継出版の「佐々木和彦の英語長文が面白いほど解ける本」によって長文の読み方、そして設問の解き方を習得。
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<br />以上3冊を駆使し切れば解釈(=構文把握)と長文については仕上がったことになるだろう。
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<br />その後、過去問や模試などをやりこみ受験に突入するのみ!!
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<br />もちろん文法問題集や単語帳の繰り返しも怠らないように!!!
説明の仕方から見て、たぶん上レベルの受験高校生を対象に作られた本だと思う。高校生の少なくとも下半分は中学で習った基本的な文法が十分に習得できていないので、もっと例文がついていたりや副本としてワークブックがないとついて行くのは難しいでしょう。たとえば、「目的語」を3,4行で説明するのではなく、目的語そのものの説明にもっとページを割くべきだとおもいます。筆者は定義をそういうものなのだと、まずは素直に受け入れて使いこなせるように頭を訓練しなさいと言っていますが、そうであれば定義の説明をもう少しわかりやすい表現にするべきでしょう。
<br />最近、「格差社会」ということばが流布し、「ゆとり教育」の結果、学校は塾に通っていることを前提に授業を進めています。そのコンテキストで言うと、この本は塾に行けない人、塾の授業についていけない人には、ちょっと辛い本だと思います。