<br /> 英語とのつきあいはかれこれ30年以上になるのですが、形容詞というのがなかなか使いこなせません。もちろん「red(赤い)」とか「blue(青い)」といった類いのものには苦労を感じませんが、cleverとsmart、ambiguousとvagueといった形容詞にはその微妙な差異を測りかねることがたびたびです。
<br /> 本書はそうした類似の形容詞を集めて、それぞれの単語からネイティブ・スピーカーが受け取るイメージについて平易に解説した書です。
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<br /> たとえば「曖昧な」という意味をもつambiguousとvagueでは、前者では「bi(2)」が常に意識されて「2つの可能性が理解を難しくしている」一方、後者はその「情報そのものがぼやけていて理解ができない」ことを意味している、と解説します。
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<br /> またlargeとbig、smallとlittleなど、頻繁に使う可能性があるのにそれぞれの差異について無自覚であったものも取り上げられていて、大変勉強になりました。それぞれ前者が「感情的色彩が感じられない、サラっとした語感」をもつのに対し、後者は「感情ののる、豊かな広がりのある」単語だとのこと。言われてみればそんな感じがします。だからShe has a big heart.とかWhat a lovely little boy you are!と言うのが自然で、それぞれlargeやsmallと入れ替えがきかないというのもうなずけます。
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<br /> ただしこの本は中高生が教科書でお目にかかることはめったになさそうな高度な形容詞も多数取り上げています。たとえば「辛らつな」を意味する単語として本書はacrimoniousとacrid、そしてpungentを取り上げていますが、どれもあまり目にしない単語ですから、その違いを説明されても単語を覚えるのに精一杯でなかなか微妙な差異までにわかには飲み込めないでしょう。
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『賢い』、『大きい』など、1つの意味でも英語の形容詞には多くの種類がある。それをネイティブは、どういうふうに使い分けるかというのが本書の中身。
<br /> 『そうだったのか』という目からウロコが落ちる思いをすることが、たくさん書いてあります。皆さんも経験してみてください。
形容詞のみを取り扱った英単語集の一種だ。<br>ただ、大学受験や検定試験対策の単語集とは少し趣が異なっている。<p>勉強するときに英和辞典を引くことがあるが、英単語とそこにある訳語を1対1のものとして対応させて考えてしまうことが<br>英語学習において大いに危険であると著者は考えているようだ。<br>この点に関しては強く共感できる。<p>英語の例文もあるが、このシリーズの中ではあまりきっちりとした和訳がつけられていない。<br>大体こういうニュアンスですよ、というのが記されているだけだ。<br>辞書にあるそのままの訳語を当てはめることを避けているようとする表れだろう。<p>そういう著者の方針が十分反映されており、この書籍を利用することによりイメージによる理解で<br>類義語のニュアンスをつかんでいくことができる。