「ニート」って言うな! みんなこんな本を読んできた 「ニート」って言うな!
 
 
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「ニート」って言うな! ( 本田 由紀 内藤 朝雄 後藤 和智 )

●タイトルから想像されるような感情的な反論や生々しいドキュメントの類ではありませんのでご注意ください。学識とデータでおかしいことはおかしいと冷静に証明しているだけです。●ドイツを範とする専門学校拡充の提言は読む限り企業の姿勢や気の持ちように頼っているとしか受け取れませんでした。入り口で学校制度を堅牢に作り変えても出口の採用を良心に委ねています。なんとも心もとない。●2部はニートを他の言葉に当てはめてもしっくりくる普遍性のある内容でした。ニート以外の藁人形を社会が欲さないという保証はこの先もないですから。●2部では国際比較も提示して欲しかった。日本のように社会憎悪が他の国でも恒常的に噴き上がっているのか気になるところです。●2部で年長者→若者の言いがかりや鋳型へ当てはめようとする欲求を糾していますが実感として若者→年長者あるいは年長者同士の方が苛烈な気がします。いい年こいてとか分別を弁えろとか。これにも一言何か述べなければアンフェアです。若者ばかりが窮屈なわけないでしょう。●教育にまつわる人々の思惑からグロテスクさをつまびらかに暴いてゆきますがこれはニートムーヴメントと逆の方法で藁人形を仕立てています。修身や道徳という教育のごく一分野を教育一般として扱うのは無理がある。思想や価値観を差し挟む余地のない純粋な技術の伝達も教育ですよね。1部で挙げている専門教育の効用はどうなるのでしょう。●大衆憎悪を鎮める処方箋が提示されましたが迂遠過ぎます。長期的にはこれでよしと合意できますが短期的な方も示して欲しいですね。例えば3部のように無責任な言論人の発言をデータベース化して折を見て順次晒すような仕組みは効果的な気がしますが。●3部は1・2と比べて何を訴えたかったのかいまいち伝わってきませんでした。無責任な輩変節の徒を晒すこと?逆に本書においては無類の面白さです。粘着質な追跡劇は痛快。

すでに社会に氾濫してしまったニートの歪められたイメージに対して <br />それはちょっと違うんじゃないの?と反論している本。 <br />一般に広まっているニートのイメージに合致した層が存在していることは <br />本田氏も指摘している。しかしそれはニートの枠で括られている中の少数であると。 <br />バブル後長期にわたる不況の中で、雇用調整のために正社員への <br />入り口が狭められた結果、そこからあぶれてしまった若年層がいる。 <br />経済構造が変わり、非正規雇用の増大により希望を持てるところから <br />あぶれてしまった若者達がいる。 <br />高度経済成長期に努力すれば安定した職につけて将来の見通しが立った <br />時代と今では状況が大きく異なっている。 <br />ニートを批判している人が、今の時代に生まれていてニートになって <br />いない保証があるのかどうか。 <br />社会からバッシングされ鬱積を晴らす対象にされる次の「ニート」の <br />役割を担う言葉は何になるんだろうか。

<br /> 3人の著者による「ニート論ブーム」批判。それぞれの原稿を持ち寄った3部構成になっている。私なりにまとめると、本書が全体として発しているメッセージは以下の3点。 <br /> <br /> 第1に、本来「ニート問題」が若年失業者問題という労働経済問題であるにも関わらず、それを失業者自身の心の問題、教育の問題として扱うことが、的外れな対策を推進させ根本的な問題を現状のまま放置させるという意味で、むしろ問題の解決を阻害している、ということ。 <br /> <br /> 第2に、そもそも「最近の若者は、生きる意味を見出せない、働く意欲を欠いている、コミュニケーション能力に問題があり他者との関わりを苦手とする、凶悪犯罪を犯しやすい」といった、マスコミの流布する「無力で危険な若者」言説には何ら根拠がない、ということ。 <br /> <br /> 第3に、そういった言わば「青少年ネガティブ・キャンペーン」は社会の不安感をいたずらに煽り立てるため、それがなければ到底考えられなかったようなムチャクチャな制度導入を実現したい政治の立場から利用される、ということ。 <br /> <br /> タイムリーな本だと思うし、説得力もある。私自身は「社会の心理学主義化」にちょうど関心をもっていたので非常に面白く読んだ。唯一残念だったのは、文章スタイルが悪い意味での人文・社会・思想系独特(?)の言い回しを多く含んでいて、慣れない私には読みづらく感じた箇所が多々あったことか。 <br /> <br />

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