私自身理系の畑出身で、科学が万能ではないことはよく知っている、実感していたつもり
<br />だったが、さらにその上の視点から書かれているので勉強になった。
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<br />科学こそ絶対的客観であり万能であると思い込み、
<br />理屈にあわないことを敬遠するという態度の理系出身者は多い。
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<br />私自身も高校までその一人であったが、実生活、とりわけ人間関係において
<br />いくら正しいと思うようなことでも反発、あるいは理解されないことは多々ある。
<br />特に痛感させられるのは、異性との付き合いに多く見受けられる。
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<br />「私を寂しくさせたら浮気しても文句言わないでよ!」とか
<br />「男は浮気する生き物なんだよ!」とか(笑)
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<br />それぞれ人に異なる価値観やエゴが存在するので、当然利害がぶつかることはわかって
<br />いることだが、自分が正しいと信じている理屈、常識(=仮説)を死守するあまりに
<br />歪が生まれ、「この人とは合わない」と片付けてしまう。
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<br />しかし、この本を読むことでその世界観から開放され、いかにして
<br />人との付き合い、物事の捉え方をしたら良いかということを教えてくれる。
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<br />最後に、タイトルの「99.9%」とつけたのはなぜかという問いは非常におもしろい。
<br />この理由が分かれば、この本を理解できた証だからだ。
<br />「ああなるほど!」と感心させられる。
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<br />「なんだ科学の話か」というのでは決してなく、ただ科学を題材にして
<br />世界観を語っているだけなので、どんな人でも一読の価値はあるだろう。
<br />現代社会で息苦しさ、閉塞感を感じている人にはぜひ、お薦めしたい。
物事を見る際に、常識を疑ってかかることは大事…というのはよく言われていることで別に真新しい事ではないですね。
<br />敵か味方か、白か黒かに拘りつつある現代の世の中への一石としては意義があるとは思います。
<br />しかし、逆に敵味方二分論の補強にも捕らえられかねない。
<br />極端に言ってしまえば、何でも仮説=何でもありとなってしまわないか。
<br />なんにでも答えがあると言うのも「仮説」とは言ってはいるものの、どうも肝心な所はあっさりとスルーされてしまったような、納得したようなしないような微妙な気分になりました。
一読した感じでは全体に浅い印象を受ける。
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<br /> 「全ては仮説だから、いつひっくり返ってもおかしくないのだ。
<br /> 過去にもいろんな仮説がひっくり返った。
<br /> 今だって、身の回りには根拠のない「科学」が満ち溢れている。
<br /> だから、人の言うことは鵜呑みにしないで疑ってかかれ。」
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<br />と、結論はこれだけである。
<br />これだけなら、当たり前、である。
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<br />しかし本書のいちばんの値打ちは、科学が仮説で成り立っているという議論ではなく、
<br />科学と哲学の、深遠かつ悩ましい関係を中学生にでもわかるように説明した点にある。
<br />これは大変なことだ。
<br />著者の哲学的な素養は本書からはよくわからないが、
<br />少なくとも芯ははずしていないと思う。
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<br />仮説は仮説に過ぎない、という点は適当に切り上げて、
<br />哲学対科学という側面から掘り下げていけばもっとおもしろい議論になったはず。
<br />ぜひ、次回作を期待したい。